攻める総務

高級椅子442脚を社員へ譲渡、朝礼も廃止──“こだわりのオフィス”を4割縮小、コロプラの決断コロナで方針転換(2/4 ページ)

» 2020年11月02日 07時00分 公開
[秋山未里ITmedia]

 2〜4月初旬の緊急事態宣言発出前が一番苦労した時期だったという。これまでリモートワークを想定していなかったため、すぐに全社員が在宅勤務に移行するのは難しい。社員の安全は確保したいものの、コロナ禍でも楽しめるようスマホゲームを提供する企業として、事業を停滞させることは許されない時期だった。

 「先んじて在宅勤務に取り組んだ会社が大々的にメディアに取り上げられる中で、『自社は遅れているのではないか』と不安を感じる社員もいたと思います」(原井さん)

photo 原井義昭さん(コロプラ取締役CFO兼CHRO)

 在宅勤務に必要な対応を見極めるため、2月から少人数のチームで在宅勤務を試し、課題を洗い出すところから始めた。

 試験導入に参加した社員が迅速に在宅勤務のノウハウをまとめるなど、社員が団結して対応した結果、必要なシステムをそろえて4月初旬の緊急事態宣言が発出される数日前に、従業員が日次で勤務場所を選べるワークスタイルに移行した。

 在宅勤務中のコミュニケーションを補うために、Web会議システムの「GoogleMeet」とチャットツールの「Slack」を用いた。6月からは追加で、雑談のように柔らかく遊びのあるコミュニケーションを促進するため、社内SNSの「GoogleCurrents」(当時の名称は「Google+」)も導入した。

photo オフィスの各会議室にWeb会議をワンタッチで使うための「Google Meet ハードウェア」も設置している

 GoogleCurrentsでは、社員が在宅でのリフレッシュ方法や最近プライベート遊んだゲームの話など直接仕事に関係しない話題を投稿し、会話を広げているという。

朝礼と集会を廃止、代わりに“社内YouTuber”誕生

 2月末には毎週月曜日に実施していた朝礼を廃止した。代わりに社長や役員がメッセージ動画を自撮りし、配信する取り組みを始めた。

 原井さんも配信するメンバーの一人で「初めは嫌でした、慣れなかったです」と話すが、実際に何週間か取り組むうちに社員のエンゲージメントが向上したということが、定期的に行っている社内アンケートの結果により判明した。

photo 「いつもこのようにスマホスタンドを使って動画を撮影しています」(原井さん)

 「朝礼よりも効果がありました。月曜日の朝から大人数が集まることにより『とりあえず行けばいい』という意識の社員も多かったのかもしれません。動画だと自分に語りかけている感じもしますし、配信者のことを身近に感じられます。新型コロナウイルスに関係なく、動画の方がコミュニケーションが取れることが分かりました」(原井さん)

 朝礼の他、半期に1回の全社集会もオンライン化した。10月1日の集会では視聴する社員に内容がよりよく伝わるようにメッセージ動画への編集を行い「手越祐也さんのYouTubeのようなテロップ」(原井さん)も付けたという。

 全社集会の社内表彰部分では、スタジオから役員が「Zoom」を使用して生配信し、表彰者にはリアルタイムでコメントをもらった。これまでの全社集会は、ホテルの会場に全社員が集まる形式で実施していた。その際は、受賞者が壇上に上がるまでの時間や、形式的な賞状の受け渡しに時間がかかっていたが、オンライン化することにより受賞者のコメントや選定理由などのコミュニケーションにフォーカスすることができた。

 「今までどうしてリアルでやっていたんだっけ、と思うくらい社内での評判が高かったです」(原井さん)

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