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「”会う”意味を更新したい」 リコー、”はたらく”を研究する施設開設 その意義はアフターコロナ 仕事はこう変わる(1/3 ページ)

» 2020年11月05日 10時50分 公開
[上間貴大ITmedia]

アフターコロナ 仕事はこう変わる:

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、業務の進め方を見直す企業が増えている。営業、在宅勤務、出張の是非、新たなITツール活用――先進的な取り組みや試行錯誤をしている企業の事例から、仕事のミライを考えていく。

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 リコーは11月2日、社内外の起業家やクリエイターに向けた次世代ワークプレース「3L(サンエル)」を東京都大田区に開設した。

 リコーは3Lを「単なるワーキングスペースではない」としている。コロナ禍でリモートワークが普及し、働く上でも「分散」が当たり前になる中、人が「会う」ことで仕事にどのような影響を及ぼすのか、3Lで新たな出会いを生み出しながら、”はたらく歓び”が何かを分析、研究する施設だという。具体的には何をする施設なのだろうか。

3L外観(提供:リコー)

 3Lの開発はリコーの若手社員が中心となって進められた。開発を担当する経営企画本部 経営企画センター Fw:D-PT兼 グローバル人事グループ 稲田旬氏は「以前は集まらなくて済むことも集まってやっていた。(コロナ禍で)分散が当たり前となった先の働き方で『集う場所』をどう価値化するか。『会う』という意味合いをどう更新できるか研究を進めたい」と開設への思いを語る。

経営企画本部 経営企画センター Fw:D-PT兼 グローバル人事グループ 稲田旬氏

 3Lへの入館自体は無料だが、専用アプリでの予約が必要となる。館内では専用のデバイスを装着し、利用者や人々が集まる場所を管理する。各チームの活動内容や、利用者の情報は各フロアのサイネージやアプリで確認できる。新型コロナウイルス感染防止対策という理由もあるが、それだけではない。利用者がよく集まる場所や、発話時の抑揚、取り組んでいるテーマなどを分析して開示することで、3L内で新たな出会を創出し新しいビジネスチャンスを生み出してもらう狙いがある。

さまざまな環境を提供する

 建物は、同社の福利厚生施設だった「大森会館」を改修した。館内には会議室や個人ワーク用のスペース、かつての体育館を活用した解放感のあるワークスペースを用意。また、リラックスして歓談ができるバーも設置した。さまざまな状況を想定して、人々がつながりやすい環境を提供できるよう工夫したという。また、技術だけではカバーできない部分を補うため、常駐スタッフが利用者同士の交流や意見の集約を支援する。

 3Lにはその象徴といえる場所がある。それが「RICOH PRISM(リコー プリズム)」だ。

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