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» 2020年11月05日 10時00分 公開

ここがヘンだよ「Go To Eat」:“トリキの錬金術”は他でも起きていた Go To Eatオンライン予約事業は「税金の無駄使い」 (3/4)

[田中圭太郎,ITmedia]

“トリキの錬金術”は他でも起きていた

 オンライン飲食予約事業は10月1日に始まったものの、当初から混乱が生じた。付与されるポイントはランチで500円分、ディナーで1000円分。しかし、オンライン予約をして来店するだけでこのポイントがもらえるため、制度の抜け穴をついてポイントを稼ぐ人たちが現れた。

 最も物議を醸したのが、焼き鳥居酒屋チェーンの「鳥貴族」。ディナーをオンラインで予約して、税込327円の1品だけを注文して、ポイントとの差額を稼ぐことが問題になった。事業を管轄する農林水産省は、当初は「想定済み」との見解を示していたものの、10月8日になって予約サイト事業者に対し、ポイントを下回る飲食ができないように求めた。

phot 鳥貴族は10月7日、「Go To Eat」キャンペーンの対象から席のみの予約を外し、コース予約のみを対象にすると発表した(リリースより)

 日本フードサービス協会には、複数の会員企業から「鳥貴族と同じような状況が起きている」と報告があったという。オンライン飲食予約事業に参加していた、ある単価の高い喫茶店では、コーヒーとケーキなどで客単価が1000円を超える想定だったものの、予約して来店した客が600円程度のコーヒーだけを飲んで帰るケースが多発していた。

 ディナーの場合、客には1000円分のポイントとの差額400円が手に入る一方、店としては予約で席が埋まったとしても単価が上がらない。「何とかならないのでしょうか」と嘆く声も寄せられたという。

 同協会はこうしたケースの発生防止を検討すべきだったと指摘する。

 「鳥貴族の問題は当初から予想されていたことです。農水省は想定内とお答えしていたと思いますが、想定内なら事前に対処するべきでした。法的には問題がないとも言っていましたが、これは法的な問題ではなく、道義的な問題です。そこを消費者に理解してもらうために最善の手を尽くすのは、事業の主体である役所の役目ではないでしょうか」

phot ある単価の高い喫茶店では、コーヒーとケーキなどで単価が1000円を超える想定だったものの、オンライン予約をして来店した客が600円程度のコーヒーだけを飲んで帰るケースが多発していた(写真提供:ゲッティイメージズ)

予約サイトは地方ではあまり使われていない

 オンライン飲食予約事業が、集客という面で飲食店にメリットがあるとしても、そのメリットを受けられるのは、予約サイトを利用する飲食店だけに限られる。

 予約サイトの条件が会社ごとに違うなど複雑で、ほとんどのサイトで送客手数料を取られることなどから、個人経営などの小規模な飲食店だけでなく、大手チェーンも参加に躊躇(ちゅうちょ)していることは前述の通りだ。

 さらに、大都市圏に比べて、地方の飲食店ではオンライン予約サイト自体が、飲食店の利用客にもそれほど浸透していない。混雑しないために予約する必要のない飲食店も多く、仮に予約するにしても電話で事足りる。オンラインで予約するという商習慣自体がそもそもないのだ。

 ある地方の県庁所在地にある商工会議所に状況を聞いてみると、オンライン予約サイトに登録している飲食店は「3割ほどしかないのでは」という回答だった。

 また、高齢の客でわざわざオンライン予約サイトに登録して、オンラインで予約する人も決して多くはないだろう。オンライン予約を使わない消費者にとっても、不公平なだけの事業なのだ。

phot 地方の経営者や高齢の事業者にとってオンライン予約サイトを使う商習慣はあまりない(写真提供:ゲッティイメージズ)

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