コスモス薬品は、郊外というよりも過疎が進む田舎町のロードサイドに「小商圏型メガドラッグストア」を多店舗展開するビジネスモデルを日本で初めて確立した会社だ。九州を基盤に東へと展開エリアを広げ、今は中部と関東に侵攻している。今年の既存店売上高は、前年に消費増税前の駆け込み需要があった9月を除き、全ての月で前年同月を上回る。
大きな商圏に大型店を出し、小さな商圏に小型店を出すのが従来の小売業の常識。しかし、同社の考え方は違った。人口1万人程度の小商圏に、売場面積2000平米または1000平米の大型店をつくり、地域住民の日々の暮らしを満たす消耗品がワンストップで買えるような便利さを追求している。
また、基本的に特売を行わない「EDLP」(エブリデイ・ロー・プライス)を貫く。
コスモスの20年5月期第3四半期(19年6月〜20年2月)決算によれば、商品構成比率は、一般食品56.3%、医薬品15.5%、化粧品10.4%、雑貨16.5%、その他1.3%となっている。食品の比率が6割近くで、医薬品は15%程度にとどまる。
しかし、同社は医薬品をおろそかにはしておらず、近年では調剤を併設した店舗にも取り組んでいる。そして、将来的に全国展開するとみられる。つまり、ウエルシアやスギに近似したチェーンになっていくのだ。
コスモスを上回る好調ぶりを見せつけているのが、福井県を基盤に北陸と中部に店舗網を広げる「Genky DrugStores」(以下、ゲンキー)という中堅チェーン。
ゲンキーの21年6月期第1四半期(20年7〜9月)の売上高は、351億円(同23.0%増)、経常利益は18億円(同159.7%増)となっている。伸び率で見れば、ウエルシア、コスモス、スギといった2桁成長企業を上回る。
ゲンキーはコスモスと同様、小商圏の郊外ロードサイドに約1000平米もの大規模な売場面積で出店する。EDLPを基本とするのも似ている。
違っているのは、管理が難しく他のドラッグストアが扱いたがらない生鮮を強化している点だ。“生鮮ドラッグ”のビジネスモデルである。実態は、薬も扱う食品スーパーなのだ。
ゲンキーの20年6月期第2四半期(19年7〜12月)決算を見ると、商品別の売上構成比では、食品が61.7%を占め、雑貨14.1%、化粧品12.8%、医薬品は9.7%、その他1.7%である。食品が6割に対して、医薬品は1割にすぎない。
19年6月には、65億円を投入して岐阜県内にドライ・チルド・プロセスセンターを稼働。また、同年9月には業界初となる、おにぎり、弁当、総菜、精肉を製造加工するプロセスセンターをも稼働させている。
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