現地で見た、米大統領選“熱狂”の裏で二極化するビジネス コロナ再拡大の深刻な実態世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2020年11月12日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 先日まで、米大統領選の取材でワシントンに滞在していた。

 11月3日に行われた選挙から4日たってやっと勝者が民主党のジョー・バイデン前副大統領に決まったが、ドナルド・トランプ大統領はどうも諦めがつかないようで、激戦州だったいくつかの州で不正が行われたと主張している。もちろん思い付きで言っているのではないようで、弁護士を何人も抱えながら訴訟戦略に乗り出すことになる。今のところ無理筋感が強いが、不正があったなら由々しき事態であり、きちんと検証をしてもらいたいと願う。

 そんな大統領選のニュースの裏で、米国では別の問題が悪化している。新型コロナウイルスが再び全米で猛威を振るっているのだ。毎日のように感染者数が記録的数字になっており、11月6日には12万6000人を優に超える感染者数が出ている。同日には1244人が死亡し、3〜4月の第1波ほどではないが、死者数も増えている。

 そんな中で大統領選が行われたわけだが、現在、米国の市民生活はどうなっているのか。ワシントンDCや隣のバージニア州などを例に、感染拡大の第2波に突入した米国の様子をビジネスを中心にお伝えしたい。

米大統領選の裏で、新型コロナの再拡大による影響が深刻化している(写真提供:ゲッティイメージズ)

 今回の大統領選は、国内を分断して国際的に米国を孤立させたと言われているトランプ大統領と、国民の結束と国際協調路線を主張するバイデン候補の共和党・民主党の候補がぶつかったのだが、新型コロナ対策も争点になった。トランプはマスクはいらないし、ビジネスを止める必要はないと声を上げ、バイデンはマスクなどの対策をしっかりと行っていく路線を主張した。

 結果はバイデンが勝利だったのだが、仕事を持つ有権者は複雑な気持ちでいる。バージニア州のレストランに勤務するメキシコ系男性はバイデン勝利の後、「移民にも理解があるバイデンが勝ったのはうれしいが、ビジネスを考えると……」と言っていた。つまり移民家族などに敵意を剥き出しにしてくるトランプには投票できないが、バイデンならビジネスが大変だしな……ということらしい。

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