現地で見た、米大統領選“熱狂”の裏で二極化するビジネス コロナ再拡大の深刻な実態世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2020年11月12日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

相次ぐレストラン閉店、大手と小規模店で明暗

 今ワシントンやバージニアだけでなく全米規模で、レストランなどは閉鎖しているところも多い。たまに開いていても、テークアウトしか利用できない店も少なくない。例えば、マクドナルドでは地域ごとに店内で食べることができるかを判断し、3週間続けてその地域の感染者数が減れば店内での食事をOKにするとしている。また外のテラス席を利用するよう促している店も少なくないが、冬が近づき気温が下がりつつあることで、特に北部ではテラス席を使えない季節になりつつある。

 米レストラン協会によれば、今年は10万軒のレストランが店を閉じており、これは例年の倍の数になるという。一方で、マクドナルドや、メキシコ系料理を提供するチェーン店チポトレは逆に売り上げを伸ばしているし、別のチェーンのファストフード店では売り上げが倍増しているところもある(もちろん売り上げが落ちているチェーン系もあるが)。その理由は、もともとチェーン店で体力があることに加え、店舗の賃貸にも有利で、ドライブスルーなどのサービスも提供できるシステムが出来上がっているからだ。

多くのレストランが閉店した一方、マクドナルドなどのチェーン店は売り上げを伸ばしている(写真提供:ゲッティイメージズ)

 小売店でも、小規模な店よりも、ウォルマートやターゲットといった大手で大規模な店は閉店することもない。筆者は大統領選の間、ワシントンから大統領選に関するテレビ中継に出演していたが、そのためのちょっとした機材を買いにウォルマートに行った。まず入り口でショッピングカートを手に取ると、そこで備え付けられた消毒用のペーパータオルでカートを消毒するようになっている。さらに自分の手も消毒すると、マスクをきちんと鼻まで覆うよう指示するサインがある。

 買い物は多くがセルフで行えるようになっており、店員と接触することもない。こうしたインフラの整っていない小規模店では、店を開けても安全を維持できる保証はないし、太刀打ちできないだろう。事実、3月から9月までに全米で閉店した約2万2000店のうち、4分の3は5店舗以下で展開していた店だったという。また米労働省の統計では、新型コロナ前に1200万人ほどがレストランで働いていたが、230万人ほど減っている。さらにセールスという意味では、レストランビジネス全体で2400億ドルの損失になるとも言われている。

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