現地で見た、米大統領選“熱狂”の裏で二極化するビジネス コロナ再拡大の深刻な実態世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2020年11月12日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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感染拡大が止まらない……バイデンの試練

 これが大統領選の裏で国民が見ている米国の風景だ。世界で最も新型コロナの感染者を出している国である。どこへ行くにも、開いている店ではマスク着用とソーシャルディスタンスが指示されており、見た限り多くの人がそれに従っている。それでも感染者はまた増加している。

 政治専門家らに話を聞くと、バイデンの最初の試練は新型コロナ対策で、「おそらくマスク着用の義務化をやるだろう」という。ただ巷間では、住民が外に出る時はマスクしている地域がほとんどだろうし、それでも感染者は増えている。そして対策強化の裏で、国民はビジネスや雇用で大きな不安を抱えている。ワクチンもいつできるか分からないし、いつみんなに行き届くのか、そもそも高いのではないか、効果はどこまでなのか、といった声を取材で耳にした。

 米国のビジネスをどう回していくのか――。バイデンの船出はかなり困難なものになるだろう。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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