現地で見た、米大統領選“熱狂”の裏で二極化するビジネス コロナ再拡大の深刻な実態世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2020年11月12日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

オンラインオーダー、デリバリー、キャッシュレスが潮流に

 こうした傾向には、オンラインによるオーダーを受け付ける店が増えていることも拍車を掛けている。オンライン・オーダーを受け付けている店は今、売り上げを伸ばしている。ワシントンのあるサラダボウル専門店では、オンラインでオーダーと支払いをしておいて、後はピックアップするだけだった。そういうスタイルの店も増えており、店員からも、「ぜひオンラインでのオーダーを使ってみて」と声をかけられる。

 有名チェーン店を展開する米企業には、夏からデリバリーのみのチキンウィング専門店をスタートしたところもあり、1年間の売り上げは1億5000万ドルに達すると予測している。新型コロナで生まれた新たなビジネスチャンスを逃さないために、大手などは攻勢をかけている。

 さらに米国に来て印象的だったのは、現金を受け付けないお店が増えたことだ。もともとクレジットカードが広く普及している米国では、新型コロナを受けて、接触を避けるために店頭で現金を受け付けない店が激増している。セルフレジも増えているし、それで何の不自由もない。今後、新型コロナの前に戻る理由はないだろう。それが新たな潮流になっていくことは間違いない。

デリバリーやオンラインオーダーなどを駆使する店舗が増えている

 またホテルも壊滅的な状況にある。ワシントンでも、米国が世界的に観光客を受け入れないという姿勢であるために、ほとんどのホテルで部屋が埋まらない状況だ。国際的な会議やイベントも全て中止またはオンラインになっているだけでなく、官公庁の職員などもリモートで働いている人が少し前までかなり多かったために、街に人は戻っていない。

 筆者が滞在したホテルはどこもかなり空いていた。バイデンが大統領選の勝利を確実にした7日、ホテルのフロントで従業員と立ち話をしていると、「部屋は全然埋まらない。人が来ないから」と嘆いていた。ヒスパニック系と黒人系のミックスだという従業員は「バイデンが勝ったことでお祭り騒ぎだから気を付けてね」と笑いつつ、「バイデンは新型コロナの対策を強化すると言っているから、また人の動きが止まるかもね」と複雑な表情を見せていた。

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