「ビジュアル系がすごく好きで、バンドマンを引退したときに自分の夢は終わったと思っていました」──そう語る男性は今、インサイドセールスのカリスマに転身し、イベントに登壇、SNSでも情報を発信している。「ビジュアル系インサイドセールス」として活動する堤貴宏さん(@hotto_mihiro)だ。
堤さんはプロのビジュアル系バンドのギタリストとして13年間活動したのち、ビジネスマンに転向した異色のキャリアの持ち主だ。SNSマーケティング支援を行うホットリンク(東京都千代田区)で2018年、インサイドセールス部をたった1人で立ち上げた。
しかし、すぐにその才能が花開いたわけではない。ビジネスマンになりたての頃、堤さんは「ビジネススキルが欠けていて、PowerPointやExcelの使い方、名刺交換の細かなしぐさで恥をかいたこともありました」と振り返る。さらにインサイドセールス部を立ち上げるときには、一斉メールの誤送信といったミスから、1人で部署を立ち上げる孤独感までさまざまな苦労が尽きなかった。
30代を過ぎてからビジネスの世界に飛び込んだ堤さんは、いったいどのような経緯でインサイドセールス部を立ち上げることになったのだろうか。そして、失敗も成功も経験している堤さんが今だからこそ考える、インサイドセールス立ち上げのポイントとは何か。話を聞いた。
電話やメールを駆使して、新規顧客とのコンタクトを専門で行う営業担当のことで、アポイントを取り、実際の商談を行う営業担当者(フィールドセールス)につなぐ役割がある。時間や労力がかかる新規の商談のきっかけ作りを選任で受け持ち、効率的な売り上げの向上が見込める。
堤さんは高校卒業後、13年間ビジュアル系バンドでギタリストとして活動。プロとして成功した時期もあったが、30歳を過ぎた頃、金銭的に厳しい状況とバンド内でのすれ違いが重なった。電話営業を担当していたアルバイトの方が刺激が強く、充実していることに気が付いた2014年、バンドを辞めてアルバイト先の社員として働き始めたのがセカンドキャリアの始まりだった。
1社目では、電話営業の成績もよく周囲にも恵まれていた。しかし、会社の体制変更の影響を受けて状況が変わったことをきっかけに転職した。1社目は個人事業主向けのサービスで顧客の検討時期も短く、「気合と行動量があれば売れた」(堤さん)ものの、インサイドセールスを担当した2社目は商材が複雑で、大手企業に戦略的にアプローチする必要があった。堤さんは「1社目で活躍できたことが障害になってしまいました。同じ営業手法が通用しなくて苦しみました」と振り返る。
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