コロナ禍に急増している「ゴーストキッチン」、落とし穴は?市場は拡大(4/4 ページ)

» 2020年11月29日 07時12分 公開
[藤井薫ITmedia]
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ゴーストキッチンの落とし穴

 確かに、ゴーストキッチンは魅力的なビジネスモデルではあるが、落とし穴もいくつかある。そのひとつが、デリバリーを外部に委託する場合の手数料だ。「Grubhub」「DoorDash」「Uber Eats」などの大手企業のプラットフォームを利用した場合、オーダーごとに最大30%の手数料が徴収されてしまうからだ。

 ファストフード最大手のマクドナルドのように、フードデリバリーのボリュームがある程度見込まれるのなら、手数料を15%に下げる交渉ができるのだが、小規模の飲食店では到底無理な話だろう。

 これでは、せっかくフードデリバリーに力を入れても、小規模の飲食店は利益を上げるのが大変になる。特に、コロナ禍の真っ只中であれば、切実な問題だ。そのため、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、ボストン、ニューヨーク、ワシントンD.C.などの大都市では、フードデリバリーの手数料を一時的に低く制限する法案が可決されている。

プラットフォームを利用すると手数料が高く……(画像はイメージ)

 それでも、このような法案は一時的な救済でしかないため、配達エリアを限定して自社でデリバリーを行う飲食店も少なくないようだ。

 また、デリバリーの手数料のほかにも考慮しなければならないのが、オンライン上での存在を高めるためのデジタルマーケティングにかかるコストだ。というのも、ゴーストキッチンに転換した場合、今までのように顧客とのコミュニケーションを取ることができないため、サイトやソーシャルメディアなどを通してコンスタントに情報発信を行い、頻繁につながっていることが必要になるからだ。

 コロナ禍でこれまでと同じ業態にこだわっていては、気がつけば収入が見込めない期間が続くだけだ。ビジネスを継続させるには、多少の投資は避けられない。だが、そこからさらに工夫することで、ビジネスチャンスは広がりそうだ。

 コロナのピンチをチャンスに変える「ゴーストキッチン」から、新たな食の文化が生まれていくかもしれない。

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