確かに、ゴーストキッチンは魅力的なビジネスモデルではあるが、落とし穴もいくつかある。そのひとつが、デリバリーを外部に委託する場合の手数料だ。「Grubhub」「DoorDash」「Uber Eats」などの大手企業のプラットフォームを利用した場合、オーダーごとに最大30%の手数料が徴収されてしまうからだ。
ファストフード最大手のマクドナルドのように、フードデリバリーのボリュームがある程度見込まれるのなら、手数料を15%に下げる交渉ができるのだが、小規模の飲食店では到底無理な話だろう。
これでは、せっかくフードデリバリーに力を入れても、小規模の飲食店は利益を上げるのが大変になる。特に、コロナ禍の真っ只中であれば、切実な問題だ。そのため、サンフランシスコ、シアトル、シカゴ、ボストン、ニューヨーク、ワシントンD.C.などの大都市では、フードデリバリーの手数料を一時的に低く制限する法案が可決されている。
それでも、このような法案は一時的な救済でしかないため、配達エリアを限定して自社でデリバリーを行う飲食店も少なくないようだ。
また、デリバリーの手数料のほかにも考慮しなければならないのが、オンライン上での存在を高めるためのデジタルマーケティングにかかるコストだ。というのも、ゴーストキッチンに転換した場合、今までのように顧客とのコミュニケーションを取ることができないため、サイトやソーシャルメディアなどを通してコンスタントに情報発信を行い、頻繁につながっていることが必要になるからだ。
コロナ禍でこれまでと同じ業態にこだわっていては、気がつけば収入が見込めない期間が続くだけだ。ビジネスを継続させるには、多少の投資は避けられない。だが、そこからさらに工夫することで、ビジネスチャンスは広がりそうだ。
コロナのピンチをチャンスに変える「ゴーストキッチン」から、新たな食の文化が生まれていくかもしれない。
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