コロナ禍に急増している「ゴーストキッチン」、落とし穴は?市場は拡大(2/4 ページ)

» 2020年11月29日 07時12分 公開
[藤井薫ITmedia]

コロナ禍の救世主として注目

 興味深いのは、ゴーストキッチンを運営するベンチャー企業への投資が活性化していることだ。20年だけでも、米国でいくつかの大型資金調達ラウンドが行われている。

 7月に、ニューヨークシティを拠点にゴーストキッチンを展開する「Zuul」が900万ドルの資金調達に成功した。また、9月にはUber(ウーバー)の元幹部2人が立ち上げた「Virtual Kitchen」が、2000万ドルの資金調達を得ている。

 ウーバーといえば、前CEOのTravis Kalanick(トラビス・カラニック)もゴーストキッチンのベンチャー企業「CloudKitchens」を設立している。同社は、19年に4億ドルの資金調達に成功し、企業価値は50億ドルとも言われている。

 そして、10月にはゴーストキッチンのマッチングを手がける「Ordermark」が、1億2000万ドルの資金を得ている。さらに続く11月には、活用されていない土地をゴーストキッチンに転換させる「Reef Technology」が7億ドルの資金調達を獲得したばかりだ。

 現在、米国で展開するゴーストキッチンは1500店ほどだが、相次ぐ大型の投資によりゴーストキッチンの市場はさらに活性化しそうだ。

 このように、投資により活気づいているゴーストキッチンだが、外食産業からはコロナ禍の救世主として注目されている。

 特に、新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされ、ビジネスの先行きが見えない飲食店にとって、生き残りをかけた秘策として期待されている。その理由は、コロナの影響で稼働率が低くなっているダイニングスペースをゴーストキッチンによって有効活用させることができるからだ。

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