では、企業はシニア人材にまつわる問題にどのように対策しているのか。「何らかの施策を実施している」と回答した担当者は62.9%に上った。ただ、「実施しているが成果が得られていない」との回答は35.4%で、「一定の成果が得られている」は27.5%止まりとなった。
さらにその施策の具体的な中身を調査すると、シニア人材を巡る日本企業の厳しい状況が浮かび上がってくる。各施策の実施割合について集計したところ、トップは「ポストオフ・役職定年」制度で38.1%に上った。
これは、一定の年齢に達すると、さらに昇進する予定の一部社員を除き一律で役職から降ろすというもの。50代で適用されることの多い制度で、従業員が年功序列で役職や給与が右肩上がりになるのを防ぐ狙いがある。ただ、役職や待遇がいきなり下がることで、やる気を失ったり不満をため込む中高年社員も少なくない。
パーソル総研の担当者も「企業の約半数がシニア人材に課題感を持っているが、施策実施率トップがポストオフという現状は厳しい」と指摘。企業で戦力として引き続き活躍してもらうため、「スキルアップ研修など地道な人材の活躍につながる施策の充実が求められている」と分析する。
ただ、本調査によると、調査対象の企業の人材開発予算に占めるシニア従業員の分はわずか6.3%。人材の能力開発のコストが新卒などに偏重し、雇用延長後を見据えたシニア人材の支援に振り分けられていない現状も明らかになった。
パーソル総研の担当者は「職能主義的で安定雇用の企業においてシニア人材への課題感は特に強い傾向にある」と分析。「伝統的な日本型雇用と(国の掲げる)シニア活躍は相性が悪い」と指摘している。
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