2021年4月から、法改正により企業の「70歳までの就業機会確保」の努力が義務化される。一方、日本企業でも年功序列制度が見直される中で「働かない中高年」の問題がよく取り沙汰されている。人材系シンクタンクのパーソル総合研究所(東京都千代田区)の調査によると、企業の約半数が「自社のシニア人材に課題を感じている」と回答した。具体的には4割強の企業担当者がシニア人材に対し、「モチベーションやパフォーマンスの低さ」を課題に感じていた。
一方でこうしたシニア人材をどう継続して活躍させられるか、ポジティブな対策を立てられている企業は少ないようだ。シニア社員側も、加齢による待遇の急落に不満を持つケースは多いとみられ、どのように納得して能力を発揮させられるかが問われている。
調査はパーソル総研が9月18日〜22日、ネット上で男女800人に実施した。100人以上の規模の日本企業に勤める経営企画や総務・人事などの担当(係長以上)で、自社の人事動向を把握している人が対象。
まず「自社のシニア人材に課題感を持っているか」という質問に対しては、半数の49.9%の企業が「現在、既に課題になっている」と回答した。現在では問題ではないものの、「1〜5年後に課題になってくる」「5年〜10年後に課題に」はそれぞれ25.9%、12.9%になった。
逆に「現在も未来も課題として感じていない」はわずか11.4%と言う結果に。法改正で将来的に高齢のシニア人材が社内で増えると予想される中、企業の課題感が強まりつつあるようだ。
実際に自社のシニア人材に感じている課題についても選んでもらった。44.9%の企業が「シニア社員の働くモチベーションの低さ」について既に課題と感じていており、トップに。「パフォーマンスの低さ」(42.9%)が続き、シニア社員のやる気や成果発揮に悩む企業が少なくない結果となった。
上司より年上の場合も少なくないシニア人材を、どう管理するかも課題のようだ。「シニア社員への現場のマネジメントの困難さ」を挙げた企業担当者は41.4%、「報酬・処遇の適正化」も40.8%に上った。
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