感染者最多の米国に「海外出張」 空港で実感した水際対策の違いとビジネス渡航の現状世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

» 2020年12月03日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

緩かった入国、街の店舗では厳しい制限

 私「原則として自己隔離が求められるという話だったけど、どうすればいいの?」

 職員「いや、必要ないよ。州によっては厳しいところもあるけどね」

 私「じゃあ基本的には何もしなくていいの?」

 職員「そうだね、州によるから。マスク着用とディスタンス確保は守って」

 以上である。あとは荷物を受け取って、税関申請書を提出して終了。欧州からの入国はかなり制限されているが、同じように厳しく制限されているはずのメキシコなどからは、知人の家族も私と同じ時期に何ら問題なく入国できており、PCR検査の結果を見せるといったこともない。とにかく全てが緩い。米国で暮らしたことがある人なら分かると思うが、要するに米国らしい「適当ぶり」を再確認することになった。

 その後も米国内ではレンタカーを利用したり、飛行機で移動したりした。国内線はかなり混んでいて、ソーシャルディスタンスどころの話ではなかった。州の移動でも、検問などがあるわけではなく、現実には制限もない。かなり適当だったといえる。

 一方で、米国内のレストランは閉じているところが多かったが、オープンしている店でも屋内で食事ができる店はかなり少なかった。テラス席ならばオッケーだったが、これまでの出張でよく行っていた店の利用や、取材相手と会う場所もかなり制限された。大手のスーパーや量販店などでは基本的にマスクをきちんと鼻までしていないと入店すらできない。マスクせずには食品すら買い物できない状態だ。ただファストフード店などでは店内で食べられる場所も少なくなかった。

 そんなこんなで、民主党のジョー・バイデン候補の当選確実が発表され、街頭デモなどの混乱も落ち着いたことで、取材は終了。なんとか大きな問題もなく、大統領選取材は無事に終えることができた。

 最後の問題は、日本への帰国である。日本を発つ前から、帰国した後は2週間の自己隔離が求められるのは分かっていた。その覚悟をもって、1カ月近い米国取材を終えて、帰国の途についた。

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