新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた飲食店などを支援する「Go To Eat」キャンペーン。しかし、ネット予約によってポイントが付与されるオンライン予約事業は、10月1日のスタートからわずか1カ月半後の11月中旬に、616億円の予算を使い切ったとしてポイント付与が終了した。さらにその裏では、店側が客を装ってネット予約をし、架空の実績でポイントを不正に得ようとした事案があることも明らかになった。
現在もプレミアム付き飲食券事業を中心に推し進められているものの、11月末以降のさらなる感染拡大によって8都道府県は営業時間の短縮を要請。各地域で飲食券販売の一時停止や、食事券とポイントの利用を控えるよう呼びかけられるなど、混迷を深めている。通常なら繁忙期のはずの年末年始に集客を望めなくなったことで、酒を提供する飲食店からは悲鳴があがっている。
しかも筆者が農林水産省に問い合わせたところ、「Go To Eat」キャンペーンに参加登録している飲食店は、国の集計でも全体の約3分の1程度だという。果たしてこれで飲食業全体を救う事業と言えるのだろうか。改めて「Go To Eat」を検証する。
「経営は本当に厳しいですよ。お客さんが少し戻りつつあるのかなと思ったら、また東京都から営業時間短縮の要請です。午後10時までの営業では売り上げも伸びません。おそらく、12月から来年3月まではこんな状態が続きますよね。近所の同業者の方も、みんなもたないと言っていますよ」
こう話すのは東京・新宿区の早稲田大学近くにある居酒屋「やきとり一休」の店主。新型コロナの影響で大学の授業がオンライン中心になっていることから、学生や教員の姿はまばらで、学生街を歩く人は少ない。大学周辺にある飲食店は軒並み影響を受けていて、30年以上営業してきた飲食チェーン大手も閉店した。「やきとり一休」も緊急事態宣言が出た4月から6月まで休業し、7月中旬から開けているが、客が10人に満たない日も多いという。
10月からは「Go To Eat」キャンペーンが始まった。「Go To Eat」にはネット予約によってポイントが付与されるオンライン飲食予約事業と、プレミアム付き食事券事業の2種類がある。「やきとり一休」では、どちらにも登録したが、全く効果はないという。
「オンライン予約と食事券の両方に登録しましたが、Go To Eatを利用するお客さんは全く来ません。オンライン予約も登録したと思ったらすぐにポイント付与がなくなり、食事券も販売は一時中止です。
Go To Eatは何だかよく分からないですよね。食べ物屋にはまだ効果があるのかもしれませんが、居酒屋でどれだけの利用があるのでしょうか。これが支援策というのであれば、国が居酒屋をつぶしているようなものですよね」
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