年末のコロナ拡大で居酒屋は悲鳴 Go To Eat登録飲食店は全体の3分の1ここがヘンだよ「Go To Eat」(3/4 ページ)

» 2020年12月10日 18時58分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

酒を提供する飲食店は危機的な状況

 ただ、農水省が集計した約20万店舗という「Go To Eat」参加店舗数は、業態の内訳が明らかにされていない。ファストフードなど活況を呈している飲食店もあるものの、新型コロナの影響を最も受けて、現在も前年並の売り上げに回復していないのが、居酒屋などの酒を提供する飲食店だ。

 日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、パブレストラン・居酒屋業態の10月の売上は前年比63.7%。60%を超えたのは今年3月以降では初めてだが、それでも飲食店の中で最も回復が遅れている。

phot 外食産業市場動向調査によると、パブレストラン・居酒屋業態の10月の売上は前年比63.7%。飲食店の中で最も回復が遅れている(日本フードサービス協会のWebサイトより)

 その傾向は、倒産件数にも現れつつある。東京商工リサーチの「飲食業の倒産動向」調査によると、新型コロナの感染拡大で打撃を受けた、負債1000万円以上の飲食業の倒産は、2020年1月から11月までの累計で前年比8.0%増の792件。これまでの年間最多だった2011年の800件を上回るのが確実になった。そのうち、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」は162件。前年同期比で25.5%も増加しているのだ。

phot 飲食業の倒産 年次推移(以下東京商工リサーチのリリースより)
phot 飲食業、業種別の倒産状況

 営業時間短縮の影響を最も受けるのも、酒を提供する飲食店だろう。大手のチェーンでは居酒屋の店舗数の削減や業態の転換を進めている。しかし、規模の小さな店舗は資金力が乏しいケースが多いため業態を転換する余裕はない。倒産件数以上に、閉店や廃業を余儀なくされた店舗は多いと見られ、年末に向けてさらに倒産や廃業が増えるのではないかと懸念されている。

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