東京のオフィスビルの空室率が11月に4%を超えた。三鬼商事が発表したオフィスマーケットデータによると、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均空室率は4.33%。コロナ禍の影響が色濃く出た形だ。
東京都心5区の平均空室率(三鬼商事)
コロナ禍が本格的になった3月から空室率は9カ月連続して上昇した。4%という水準は、2016年6月以来、約4年半ぶり。三井住友DSアセットマネジメントのマーケットレポートによると、「既存ビルでオフィスの集約や縮小移転に伴う解約の動きがみられたことや、新築ビルの成約が進まない状況が続いたことが背景」だという。
賃料も下落中だ。都心5区の平均賃料は4カ月連続で下落し、坪単価は2万2223円となった。2014年の坪単価1万6000円を底に上昇を続けてきた平均賃料だが、7月の2万3000円でいったん天井を付けた形だ。
「企業は、在宅勤務の普及など新常態の適応からオフィスのあり方を再考し始めており、非常に強かったオフィス需要は転換点を迎えている」(三井住友DSアセットマネジメント)
東京ビジネス地区の空室率と平均賃料(三井住友DSアセットマネジメント)
- FAX廃止、受付電話廃止、代表電話は外注 なぜマネーフォワードは総務部を解体したのか?
コロナ禍は一過性の出来事にとどまらず、企業の組織体系自体にも影響を与えてきている。リモートワークの定常化、オフィスの縮小などをよく聞くが、組織自体を変え、総務部を解体した企業がある。フィンテック企業のマネーフォワード(東京都港区)だ。
- 都心オフィスビル空室率は低水準 J-REITは07年以来の高値
オリンピックを控え、各地で再開発が進む東京。都心部へのオフィス供給が増加するなか、需要はそれを上回り、空室率は低水準。賃料も66カ月連続で上昇している。こうした背景の中、J-REITは2007年以来の高値を付けた。相対的に高い利回りも投資家の注目を集めている。
- 2020年までのオフィスビル竣工ラッシュ 注目の街は?
東京のオフィスビル開発が活況だ。現在渋谷の駅前で再開発による超高層ビルが次々と建っていることに象徴されるように、2018年、19年ともに過去20年の平均を超えた床面積のオフィスが供給された。そして20年には、さらにそれを上回る延べ30万坪ものオフィスが生まれようとしている。そんな2020年以後、発展するポテンシャルのある街はどこなのか。
- インフレが来る? 通貨からの逃避続く世界経済
コロナ禍の拡大は続いているが、株式市場は好調を維持している。この背景には何があるのか。「貨幣からの逃避を垣間見た、それが今年のマーケットだった」。そう話すのは、フィデリティ投信のマクロストラテジスト重見吉徳氏だ。
- ハイテク株を舐めてはいけない 2021年の市場は「ゴルディロックス」に
2021年の経済はどう動くのか。三井住友DSアセットマネジメントの石山仁チーフストラテジストは、「IT株の評価額が高すぎると考える人もいるが、そこには新しい需要が生まれ始めていて、ITセクターが牽引して新しい付加価値を生む。ハイテク株を舐めてはいけない」と話す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.