焼肉業界で「大豆ミート」が主流になる、これだけの理由スピン経済の歩き方(5/5 ページ)

» 2020年12月15日 09時45分 公開
[窪田順生ITmedia]
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略して「ダルビ」「ダラミ」はどうか

 諸説あるが、これは精進料理の中で雁(がん)の肉の「もどき」、つまり代用肉として作られたことが起源だという。本来ならば、このような歴史もあって、食に対するこだわりも非常に強い日本が、世界の代替肉市場をリードすべきだと思っている。

 大手コンビニでも、大豆ミートを用いたお弁当が販売されているが、まだ健康志向やビーガン向けというような印象で、一般に普及するような兆しはない。そういう意味では、今回の焼肉ライクの「NEXTカルビ」と「NEXTハラミ」の全店舗販売は、大豆ミートを世に浸透させていく、いいきっかけになるかもしれないのだ。

ファミリーマートの「大豆のお肉!7種野菜のビビンバ丼」

 ただ、個人的には、「NEXTカルビ」と「NEXTハラミ」はちょっとカッコよすぎというか、なんとなく気取った感じで注文しづらい気もしている。代替肉をもっと身近に感じてもらうために、ここはひとつ、親しみやすいネーミングをしてみてはいかがだろう。

 例えば、「ダイズカルビ」「ダイズハラミ」を略して「ダルビ」「ダラミ」なんてどうか。ダルビ丼とか、ダルビクッパとか、響きはそれほど悪くないし、何よりも「すみませーん、ダルビ2つと生ビール追加ね」なんて感じで注文しやすい。

 日本の新しい焼肉文化を広めていくためにも、業界の方にはぜひそのあたりのマーケティングも真剣に考えていただきたい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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