「目が逸れたら負け」「テレビ顔負けの演出」−−日興AMの“本気すぎる”リモート営業術(1/2 ページ)

» 2020年12月18日 12時25分 公開
[斎藤健二ITmedia]

「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵:

 「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。

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 コロナ禍の中、活動に大きな影響が出ている職種の1つに営業がある。Zoomなどを使ったオンラインでの営業活動が必須になってきているからだ。オンライン営業でいかに成果を出すか。そのために、オンラインミーティング専用ブースを設置した日興アセットマネジメント(AM)の、社内の営業コンテストを取材した。

日興アセットマネジメントの、オンライン営業コンテスト「ZERO-1グランプリ」

非接触型(Zero Contact)営業

 コンテストの名称は「ZERO-1グランプリ」。非接触型(Zero Contact)の営業でもナンバーワンを目指すという思いが込められているという。投資信託などの販売会社に向けて、同社の商品を説明する、資産運用サポート推進部と資産運用サポート部の担当者約50人が参加した。

 1人4分の持ち時間で、「ファンドの勉強会」「商品提案」「投資教育」といったテーマから参加者が選んで、Zoom上でプレゼンテーションを行う。社内と社外の審査員がプレゼンを評価する形だ。驚いたのは、そのクオリティの高さだ。

 画面には所属部署を表示したテロップや、話のキーとなる単語が表示され、相手の理解を深める。さらに、クイズを用意して視聴者に問いかけたり、Zoomの投票機能も活用したりして、双方向のコミュニケーションを深める仕組みを活用していた。

 優勝した資産運用サポート推進部の安食智朗グループマネージャーは、「画面越しに想いが伝わるかどうか。目線が逸れたら負けだと考えました」と話す。カメラ越しながら、原稿を読むために目線を落とすことなく、相手を見続ける姿勢は、信頼感と説得力を感じるものだった。

資産運用サポート推進部の安食智朗グループマネージャーは、Zoomの中でピクチャー・イン・ピクチャーを活用してプレゼンを行っていた

 夏休み前後から業務を見直しており、既に営業活動の6〜7割はオンラインで行っているという。

 同点で2位となった資産運用サポート推進部の櫻庭央子シニアアドバイザーは、オンラインでの営業活動の難しさは、「空気感が伝わらない、感じられないこと」だと言う。プレゼンの冒頭では、清水寺が発表した今年の漢字について触れるなど、ライブであることを生かした“今日感”をうまく出して、視聴者を引き込んでいた。

画面内に画像を表示し、それを指差すというテクニックを使う資産運用サポート推進部の櫻庭央子シニアアドバイザー
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