「目が逸れたら負け」「テレビ顔負けの演出」−−日興AMの“本気すぎる”リモート営業術(2/2 ページ)

» 2020年12月18日 12時25分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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設備を作ってもそれだけではダメ

 テロップやピクチャー・イン・ピクチャーなど、まるでテレビ番組のような映像技法をコンテスト参加者が使いこなしているのが印象的だったが、これは日興AMが社内に設置したオンライン営業用のプレゼンブースに備え付けられた機材によるものだ。

 個室となったブースには、専用の照明、大型のマイク、撮影用のミラーレスカメラが備え付けられ、基本的な映像のクオリティをアップしている。さらに、自分の映像を確認するためのモニターのほか、参加者を表示する別のモニター、そして画面共有する資料を表示するiPadが用意されている。iPadではマーカー機能を使って手書きで注目点を示しつつ、説得力のある説明をしていた。

オンライン営業専用ブースは、さまざまな設備が整っている。あたかもミニスタジオのようだ
複数の画面を切り替えてプレゼンができるよう、専用のスイッチャーも用意されている

 コンテストの発案者である国内営業統括の大柳雄二専務執行役員は、コロナ禍への対応として専用のブースを作ったが、それだけでは単なるハード、箱でしかないと、取り組みの背景を話す。「デジタルでの営業のスキルアップが課題だ。放っておくと興味のある人しか使わない。半ば強制的にスキルアップをできないか」

国内営業統括の大柳雄二専務執行役員は、継続的なオンライン営業スキルの向上に取り組むと話す

 今回のコンテストの結果は人事評価にも結びつけるという。デジタルスキルの底上げを図り、対面だけでなくオンライン環境下でも営業力の強化を続ける狙いだ。

 「デジタルスキルは、ここから10年、20年、30年働くのに絶対必用なスキル。ここからもっと磨いて、メッセージが心に残るようにすることが、お客さまの満足度につながる」。審査員の1人である代表取締役社長兼共同CEOの安倍秀雄氏は、こう話した。

 コロナ禍においてデジタル化への転換は不可逆だと考える経営者が増えてきた。機材への投資だけでなく、それを使いこなす社員のスキルへどこまで投資できるかが、今後の競争力を左右していくのだろう。

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