少し前、ナイキが「差別」をテーマにした動画を公開して、SNSで「#NIKE不買運動」「#ナイキのCMは日本ヘイト動画です」という不買運動が呼びかけられたが、今度はDHCが「差別的表現」で不買が呼びかけられている。
DHCの吉田嘉明会長の名義で、同社Webサイトにアップされた文章が、在日朝鮮人への差別的な表現が含まれているとして批判を浴び、SNSで「#差別企業DHCの商品は買いません」などのハッシュタグで不買運動が呼びかけられているのだ。
しかし、年の瀬にそんな熱い戦いに身を投じている人々と対照的に、当のDHC側は思いのほか冷めている。ハフポスト日本版が取材を申し込んだところ、「ご依頼いただいた取材の件に関しまして、回答することは特にございません」と、なんともつれない塩対応なのだ。
なぜこうなってしまうのか。1つ考えられるのは、DHCにとって、今回批判されているような差別表現は「問題ナシ」といった認識なのではないかということだ。
実は吉田会長やDHCがこの手の批判を受けるのは、今回が初めてではない。2016年にも在日朝鮮人に対する発言が差別的だと問題視された過去がある。また、昨年には子会社のDHCテレビが制作するネット番組が「嫌韓」を打ち出して批判を浴び、韓国国内でDHCへの不買運動が呼びかけられたときも、「正当な批評であり、すべて自由な言論の範囲内」と突っぱねている。
要するに、今回叩かれるような表現を吉田会長は確信犯的に使っているのだ。だから、SNSで盛り上がる批判も、DHC的には不測の事態でもなんでもなく「毎度おなじみ」のことなのだ。当然、謝罪も釈明も必要ないので、ああゆうそっけないもの言いになってしまったのではないか。
そこに加えて、DHCがこのような対応をしたのは、昨今の危機管理対応のトレンドも影響しているのではないか、と個人的には考えている。そのトレンドとは、企業がSNSで呼びかけられる「不買運動」をそれほど脅威と感じなくなった、というものだ。
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