伊藤羊一が学部長に就任 武蔵野大学「アントレプレナーシップ学部」は学生をどのように育てるのか日本初の「起業家精神」学ぶ学部【後編】(2/4 ページ)

» 2020年12月26日 13時47分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

1年生の寮で伊藤羊一氏が一緒に生活!

――1年生は全員学生寮に入って生活するのも、アントレプレナーシップ学部の特徴の1つです。寮生活をする学生を、どのようにサポートするのでしょうか。

伊藤: 寮では月に1回程度、ゲストを呼んでイベントを開催したいと思っています。教員と語るようなプチイベントも開きたいですね。やはり、人が集まる場所になってほしい。対立が起きれば対立から学んで、授業の課題があれば夜を徹して取り組むなど、そういう場になればいいなと思います。

 それと、平日は僕が寮に滞在しようと思っています。1年生は60人で、3つのクラスにわけて担任がつく予定ですが、クラスの中だけではカバーできない部分があります。一人ひとりをケアしようと思うと、僕が寮にいた方が合理的なんですよ。

――伊藤さんは学生寮でヤフーの仕事をするのでしょうか?

伊藤: ヤフーは赤坂見附駅の近くに本社がありますが、無制限リモートワークなので、どこにいても仕事はできます。週4日は寮にいて、3日は自宅に帰るイメージですね。大学のオフィシャルなプログラムとして僕が寮に住むわけではありませんが、つらいときには声をかけてもらえれば。日本の大学ではこういうサポートはないみたいですけど、海外はありますよね。

phot 武蔵野大学の小平寮の外観(以下、武蔵野大学提供)

篠田: 米国の大学は基本全寮制で、ともに生活をしながら学びます。大学生の寮なのでめちゃくちゃなことも起こりますが、自分が何者で、どこが人と違うのかを理解していくうえで、寮生活は大事です。Facebookは寮で生まれたSNSです。

 米国の大学は日本の大学と比べると学生に対して教員が多い傾向があります。学生にはものすごく勉強させますね。授業では毎回本を2冊くらい読んで予習しないとついていけない授業が必ずあります。それもあって、教員と学生の距離が近いです。

伊藤: 寮でそういう空気をつくっていきたいなと思ったときに、やはり誰かが寮にいたほうがいいと思いました。最初の年は僕が住みますが、翌年からは先輩がその役を担うようになるかもしれません。だから、僕は監督者としてではなくて、仲間の一人としてフラットに寮に入っていくイメージですね。みんなが普通に話す空間です。

――学生もすごく気楽に話ができるような感じでしょうか。

伊藤: 「どう?」と聞いて「元気!」とすぐに返ってきたら、「じゃあいいや」で終わり(笑)。「ちょっと……」という反応だったら、「何、どうしたの」と聞いて。ここでは聞く力が重要になりますね。

篠田: そうやって話を聞いてもらうことを経験した学生は、同じように人の話を聞けるようになると思います。おいしいお店でご飯を食べたことがない人は、幹事になってお店を選ぶことはできません。だから、まずは経験することですね。

井上: 後輩が入ってきたら、寮はさらに面白くなりそうですね。

phot 小平寮の食堂

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