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» 2020年12月26日 13時47分 公開

日本初の「起業家精神」学ぶ学部【後編】:伊藤羊一が学部長に就任 武蔵野大学「アントレプレナーシップ学部」は学生をどのように育てるのか (1/4)

起業家精神を実践中心のカリキュラムで学び、実際に起業も経験する日本初の「アントレプレナーシップ学部」が、2021年4月、武蔵野大学の武蔵野キャンパスに開設される。

[田中圭太郎,ITmedia]

 起業家精神を実践中心のカリキュラムで学び、実際に起業も経験する日本初の「アントレプレナーシップ学部」が、2021年4月、武蔵野大学の武蔵野キャンパス(東京・西東京市)に開設される。

 学部長に就任するのは、Yahoo!アカデミア学長として次世代リーダーを育成するほか、『1分で話せ』などのベストセラー作家としても知られる伊藤羊一氏。現役の実務家教員がアクティブラーニングによって、自ら「ことを成す」人材を育てることを目的にしている。

 前編では、伊藤氏と、教員に就任するリバネス代表取締役副社長CTOの井上浄氏、元ほぼ日取締役CFOで現在はエール取締役の篠田真貴子氏の3人に、「アントレプレナーシップ学部」が目指す教育について聞いた

 後編では、1年生は全員寮生活、3年生は起業するといった独自のプログラムで、どのように学生のアントレプレナーシップを育てていくのかを聞いた。

phot 伊藤羊一(いとう・よういち)ヤフー株式会社コーポレートエバンジェリスト、Yahoo!アカデミア学長。1990年日本興業銀行入行。企業金融、企業再生支援などに従事後、2003年プラス株式会社に転じ、流通カンパニーにて物流再編、マーケティング、事業再編・再生を担当。2012年執行役員ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括。2015年4月ヤフー株式会社に転じ、企業内大学Yahoo!アカデミア学長として次世代リーダー育成を行う。グロービス経営大学院客員教授としてリーダーシップ系科目の教壇に立つほか、「考えて話す」トレーニングを行う。著書は『1分で話せ』『0秒で動け』(ともにSBクリエイティブ)、『やりたいことなんて、なくていい。』(PHP研究所)『未来を創るプレゼン(共著)』(プレジデント社)など多数
phot 篠田真貴子(しのだ・まきこ)エール株式会社取締役。慶応義塾大学経済学部卒。米ペンシルバニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年12月より2018年11月まで(株)ほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)取締役CFO。退任後「ジョブレス」期間を経て、2020年3月より在外人材によるオンライン1on1を提供するエール株式会社の取締役に就任。『ALLIANCE アライアンス――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』監訳
phot 井上浄(いのうえ・じょう)株式会社リバネス代表取締役副社長CTO。博士(薬学)、薬剤師。大学院在学中に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。博士課程を修了後、北里大学理学部助教および講師、京都大学大学院医学研究科助教を経て、2015年より慶應義塾大学特任准教授、2018年より熊本大学薬学部先端薬学教授、慶應義塾大学薬学部客員教授に就任・兼務。研究開発を行いながら、大学・研究機関との共同研究事業の立ち上げや、研究所設立の支援等に携わる研究者。多くのベンチャー企業の立ち上げにも携わり顧問を務める

アントレプレナーシップ学部が待つ学生とは

――アントレプレナーシップ学部は、1期生の募集も始まりました。どのような手応えを持っていますか。

伊藤: 興味を持ってくれた高校生には、教員に就任する予定のメンバーでオンラインゼミの開催を重ねてきました。マーケティングの要素はあまり考えず、コロナ禍でもあるので、オンラインで高校生に「学ぶって楽しいんだよ!」と話をしてみようと思ったのがきっかけでした。その感触などを振り返ってみますと、まったく根拠はないですけど、学生の募集は大丈夫だと思いますよ(笑)。

――こういう学生にもきてほしい、といったイメージは持っていますか。

井上: 僕は学生時代に仲間たちとリバネスを立ち上げました。いろいろな学部に所属する学生が集まったのですが、通常だと理系や文系で固まることが多いと思います。その壁を壊すことができたのは、個人で熱量の高い変わったメンバーが集まったからでした。皆が失敗を恐れずに繰り返しチャレンジすることで、形ができていきました。その経験からも学生ベンチャーには、失敗しても繰り返しチャレンジできる人物が必要だと思っています。

篠田: 今の話で大事だと思ったのは、天才といわれるような変わった人は、放っておいても一定の割合で出てくる一方で、もう少し「普通寄りの変わっている人」は偶然に任せていてはなかなか出てこないことです。ベンチャーを立ち上げるような種を持っていても、周りの環境が保守的だと、変わっていることに罪悪感を持って萎んでしまいます。アントレプレナーシップ学部ではそういう人を歓迎して、育てて、その人が変わっている自分を肯定して世の中に出ていけるようにしたいですね。

――「普通寄りの変わっている人」とはどのようなイメージですか。

篠田: 例えば、起業したい女の子です。世の中の起業家には男性が多い状況があります。女の子が起業したいと考えても、かなり進歩的な大人に囲まれていないと難しい部分がありますね。何となくビジネスは男性がするものと思われていて、女の子が起業したいと言うと、「ん?」「女の子なのにすごいね」という反応が返ってくることも少なくない。若い人は男女関係なく周りの大人に無意識に影響されやすいので、反応を見てその夢を育まずに忘れてしまうことが起きてしまうのではないでしょうか。

――確かに、日本の起業家は男性が多いかもしれないですね。

篠田: 少なくとも、女性は「まだ」多くはないと言えますね。これまでの日本の女性起業家は、「起業以外に自分の生きる道がない」と切迫感をもってきた方々ではないでしょうか。一人ひとりの強い個性で成立しているところがあって、層といえるほど女性の起業家は多くないですね。ここが変わっていけばと思っています。

井上: 好奇心を持って入学して、面白いと思うことを実行できる場所があれば、それだけで目覚める学生も多いのではないでしょうか。アントレプレナーシップ学部に向いている学生は結構いると思うので、そういう学生がのびのび育つ環境をつくることができればいいですね。

phot 武蔵野大学は2021年4月に新学部「アントレプレナーシップ学部」を開設する(リリースより)
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