――卒業するにあたっての論文については、どのように考えているのでしょうか。
伊藤: 3年生になったら、会社をつくります。資金をどうするかなどはまだ決まっていませんが、とにかくつくろうと思っています。2年間続けられればいいし、ダメだったらまた自分で会社をつくってもいい。それが卒業にあたっての制作物です。
篠田: ビジネスは、世の中を形作る基本ツールの1つです。そのツールがどうなっているのかを知っておくことは、必要な教育だと思います。社会人として株式会社の構造や仕組みを理解することは、語学を必修にするのと同じくらい意味があることではないでしょうか。
伊藤: 僕も個人事業主から自分の会社を法人化したことで、金をどのように管理して使うのかがまったく変わりました。法人の金は当たり前ですが、自分の金ではなくて会社の金です。たまってきた時に、内部留保するのか、投資に回すのかを考えるようになりました。こういうことを味わうだけでも違うと思います。
会社をつくる経験をすると、コロナ禍でもどう行動すればいいのかのヒントが生まれます。コロナで苦しんでいる事業者のどこに金を回せはいのだろうかと、政府の高官になったつもりで考えると、自分の損益計算書(PL)を見れば、家賃の支援が必要だと分かります。自分でオフィスを借りて、人を雇用して、その費用を引いた上がりが利益だと肌感覚で理解できているかどうかで、まったく対応が違ってきますよね。
井上: 固定費がいかに重いかということが分かりますよね。
篠田: 売掛金で、キャッシュがいつ入るのか、本当に入るのだろうかという経験も大事ですね。
伊藤: そういう感覚が身に付けば、単に売り上げが増えても、倒産する可能性があるということも分かってきます。会社のバランスシートとPLとキャッシュフローをしっかりと理解すると、会社が継続するために必要なことがよく分かります。
学びの出口としては、いろいろな出口があると思っています。起業でもいいし、そうではなくてもいいです。地方創生に取り組むという出口もあります。コミュニケーションを極めたいと考えて篠田さんのエールに入社してもいいし、研究したいからと浄さんのリバネスに入社してもいい。とにかく自分の人生を生きてほしいと思っています。
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