そんな中で起きた新型コロナウイルスの感染拡大。手洗いの重要性が高まる中、何かできないかと開発したのがWOSHだった。ウォータCEOの前田瑶介氏は「アルコール消毒は手洗いの代替ではなく、あくまで補完でしかない」と開発の経緯を語る。
「以前、あるカフェチェーンの社長と『お店の入り口に手洗い場が欲しいよね』という話になり開発を始めた。手洗い場があれば入り口で水際対策ができるし、衛生効果としてもアルコール消毒ではなく手を洗うことがベスト」(前田氏)
店舗入り口での手洗いは、実際に多くの人が必要だと感じているようだ。同社が8月に実施した調査では、98.2%の人が外出先のウイルス対策として手を洗いたいと思うと回答。一方で、手を洗いたいのに洗えない、もしくは洗いづらくて困ったことがあると答えた人は79%に上った。
また、入り口で手を洗いたいと思う施設としては「飲食店」が最も多く83.6%。次いで「病院」(60.0%)、「スーパー」(45.6%)と続いた。多くの人が定期的に訪れ、人や商品などと触れ合う場所での「手洗い需要」が多いことが分かる。
開発にあたりこだわったのは、日常的に使用できるものにすること。この装置を普及させて「新しい日常の風景」になることを目指した。WOSHには、スマートフォンの除菌機能も搭載した。手を洗っている間に手洗い場の横にある穴にスマホを入れると、表面についた菌を99.9%以上を除去できるという。「スマートフォンは『第3の手』とも言われている。どうせならWOSHで全ての“手”をきれいにして欲しい」(前田氏)
7月の発表後、飲食店や商業施設、病院などから問い合わせが相次ぎ、約150カ所での設置が決まった。「入り口で手を洗うという全く新しい習慣だが、場所によっては“しっくり来ている”ようだ。これが次の日常につながれば、設置場所はもっと広がると思う」(前田氏)
新型コロナウイルスの影響でさらに需要が高まることも見込まれていて、同社は2021年末までに日米で約1万台の販売を目指す。将来的には、手洗い設備を持たない地域に住む30億人に提供するのが目標だという。
WOSHが私たちの新しい習慣を作るきっかけになるかもしれない。
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