フィンテックで変わる財務

完全番号レスのクレカ「セゾンカードデジタル」が目指す、カードなしのクレジットカード(1/3 ページ)

» 2021年01月06日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 クレディセゾンが2020年末に提供を開始した「セゾンカードデジタル」。券面の表にも裏にも一切番号を記載しない「完全番号レス」カードだ。国内初となるこの仕組みはどうやって生まれたのか。担当者に直撃した。

荻原勇佑氏(ペイメント事業部 戦略企画部)と吉村真由香氏(ペイメント事業部 戦略企画部)

スマホを軸にして悩みや不安を解消

 「ありとあらゆる金融商品がスマホに集約されている。スマホを軸にしてユーザーの悩みとか不安を解消できるようなサービスは何か?」。セゾンカードデジタルの開発にあたって持っていた課題感を、クレディセゾンの吉村真由香氏(ペイメント事業部 戦略企画部)はこう話す。

 2019年12月頃からこれらについて議論していく中で、3つの「スマホ対応」が浮かんできた。次の3つだ。

  1. スマホで完結 5分で番号発番
  2. スマホで番号確認 プラスチックカードは初の番号レス
  3. スマホで利用をプッシュ通知。カードの停止も

 番号レスが話題だが、そのポイントは「スマホ」にある。それぞれの特徴を見ていこう。

スマホから5分で発番、そのままApplePayの登録も

 さまざまな個人情報を入力して送信したら、数日の審査があり、それからしばらくしてプラスチックのカードが送られてくる。これが一般的なクレジットカードの発行の流れだ。

 ところが、セゾンカードデジタルでは、本人確認は身分証明書をカメラで撮影するeKYCまたはオンライン口座受け付けにて行う。受付完了や審査完了の案内もすべてメール。法定書面もスマホでダウンロードするという徹底ぶりだ。これにより、最短5分での番号の発番を可能にした。

セゾンカードデジタルの登録フロー(クレディセゾン)

 もともとクレディセゾンはクレジットカードの店頭即時発行を2000年代はじめから行っており、審査スピードについてはノウハウを持っている。パルコのスマホアプリ「POCKET PARCO」では、アプリ内でカード発行を依頼すると、すぐにQRコードが発行され、それを使ってパルコ内での買い物がクレジットカードでできる仕組みを用意している。セゾンカードデジタルでは、それを特定の店舗を限らず、汎用的に使えるようにした仕組みだといえる。

 番号が発行されたら、そのままApple Payにも登録できる。まさに発行から5分後には、スマホでクレカ決済が利用できるようになるわけだ。

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