世界のどの国にせよ、21年の経済回復を支えているのは政府と中央銀行による財政政策だ。大規模な失業給付や一律の給付金により、大量のマネーが供給された。そのマネーは家計の中で、支出に回らず銀行口座に滞留している状態だ。
ワクチンなどの効果によってコロナが収束していけば、このマネーが消費に回る。これが、21年のGDP成長の原動力となる。山川氏は次のように述べた。「過剰貯蓄が消費に流れるかが、景気のモメンタムを測るうえで重要。過剰貯蓄は米国が大きいが、日本もGDP対比で4%近い。これが徐々に流れ出すと、乗数効果含めて景気の浮揚効果は大きくなる」
反面、21年のGDP成長を予想する前提となっているのがワクチンだ。山川氏は、4-6月にはワクチンの供給体制が確立するという前提のもとでシナリオを考えているという。
また、ここまで財政拡大が進んで中央銀行の実質的なファイナンスが進むと、インフレが懸念される。しかし山川氏は金融政策が長期化する可能性が高いことを踏まえ、当面の間インフレ率は低いままだろうとした。「米国で、CPI上昇率(インフレ率)が一気に加速するかというと難しいだろう。圧倒的なウエイトを占める住宅費が鈍化してきているからだ。(CPI予想を取引する)CPIスワップ市場を見ると、CPIが2%を上回るタイミングは26年に近い。長期金利が1.4、1.5%を超えて上昇する余地は、極めて乏しいのではないか」
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