世界初! エネルギーを生み出す北極圏のホテル デンマークの建築家が抜擢された理由独自の武器(1/5 ページ)

» 2021年02月02日 07時00分 公開
[小林香織ITmedia]
日本を含め、各国のメディアで多数紹介されている注目ホテル「Svart」(写真提供:MIRIS Group)

 人口約580万人の小国ながら、世界中を魅了するデンマークの建築やインテリア。現地には、建築設計を学ぶために世界各国からやって来た多くの留学生や一定数の日本人建築家がいる。

 多くの競合に囲まれ、共通するデンマークらしさも求められるなか、現地の建築家たちはどのように独自の武器を磨くのか。世界一のレストランnomaや世界初のポジティブ・エナジー・ホテルとして話題のSvartの内装設計を手掛けるデザインスタジオ・Space Copenhagen(スペースコペンハーゲン)の共同創業者2人に話を聞いた。

個人宅からホテル、家具までマルチに手掛ける

共同創業者のSigne Bindslev Henriksen氏(写真右)とPeter Bundgaard Rützou氏(写真提供:Martin Bubandt)

 スペースコペンハーゲンは、建築やデザインに特化した芸術学校、デンマーク王立芸術アカデミー(Royal Danish Academy of Fine Arts)出身のSigne Bindslev Henriksen氏とPeter Bundgaard Rützou氏によって、2005年に創業されたデザインスタジオだ。

 過去に手掛けたニューヨークのホテル「11 HOWARD」が世界的な建築インテリアのアワード、AHEAD Awards Globalで3部門同時受賞するなど、国内のみならず国外でも存在感を放つ企業といえる。

 同社を語るのに欠かせないのが、扱うデザインの幅広さ。イスやテーブルといった家具類からホテル、レストラン、個人宅などの内装、時にはアートインスタレーションまで、マルチに請け負っている。近年は同様のスタイルの競合他社が出てきているものの、2人が創業した15年ほど前は、大規模案件だけに注力する国内企業がほとんどだったという。

 「あえてそのような戦略を選んだというより、建築プロジェクトを進行する過程で、特定の類型を持つ家具をみずからデザインする必要性を強く感じたのです。例えばホテルの内装を手掛ける際、そこに置かれる家具一つひとつも私たちの美学を誠実に反映したものであること、人工的ではないストーリーを持つことで、より魅力的な空間になると感じました」(Henriksen氏)

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