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» 2021年02月09日 11時16分 公開

パワハラと指導の境界線はどこにあるのか 旭川医大問題を考える混乱の理由(1/4 ページ)

2020年6月、パワハラ防止法こと「改正労働施策総合推進法」施行された。パワハラケーススタディとして、話題となっている旭川医大を例に対応を考えてみる。

[増沢隆太,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた):

株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。


 国立大学旭川医科大学の吉田学長は、同大学付属病院「旭川医科大学病院」古川病院長を解任しました。コロナ対応をめぐって吉田学長による不適切発言も報道される中、古川病院長はコロナ患者受け入れ促進を提言しましたが、大学の意思決定としては却下されました。

 一方、旭川医大は古川病院長に対し、学内会議の内容をマスコミに漏らした点、学内を混乱させたといった理由から病院長解任を発表しました。古川氏は情報漏洩を否定したものの、それは認められませんでした。

 吉田学長に対しては、コロナ問題対応への問題発言や日頃からの強権的言動から、パワハラ体質だとの批判が起きています。また突如病院長を解任された古川氏も解任はパワハラであり解任理由である情報漏洩を否定し、解任無効を訴えています。古川氏以外の大学や大学病院関係者からもパワハラ告発があるなど、強引な吉田学長の姿勢には文科省含めて問題視する声が上がっていますが、学長側はパワハラ行為を否定しています。

混乱の理由

 ハラスメント問題では「言った・言わない」「ハラスメントの意図はない」という、加害者と被害者の言い分の齟齬や証拠の有無など判断に困ることが普通です。また今回の旭川医大事件のようにコロナ問題や日頃の態度・人柄といった、関係人物の印象も大きな影響があります。

 旭川医大では、コロナ患者受け入れに否定的発言をしたり、日頃から強権的言動で反発を持たれていた吉田学長に対する反発が土壌となり、病院長解任という大きな節目によって注目が集まったことで、「パワハラ」告発につながったと考えられます。

 また吉田学長は同大学一期生であり、やり手学長としてこれまで再選を重ね、学長と言うだけでなく学内で大きな存在感を示しているのでしょう。さらにコロナという前代未聞の非常事態と旭川市の医療逼迫という緊急事態が加わり、混乱と批判が増幅されました。企業でもデキる上司・イケイケ社員として社内評価が高く、その功から出世を果たした人がハラスメント加害者となる例が多く見られます。

 この問題の真相は部外者である私にはわかりませんが、あくまで報道ベースの事実を見た限りで考えてみたいと思います。学長側のハラスメントがあったという事実認定も証明はされていません。

 一般的な事例でも、ハラスメント・パワハラ問題では、その発生環境の整理で骨格が見えてきます。

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