10〜12月は5割増 キリン「一番搾り」缶を急伸させた“ビールで糖質ゼロ”の潜在ニーズコロナ禍で拡大した需要とは(3/3 ページ)

» 2021年02月17日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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「一番搾り」ブランドの缶商品、過去10年で最大の販売量に

 20年は、一番搾りブランドの缶商品にとって、過去10年で最多の販売数量を記録した1年になった。新商品の効果も大きいが、一番搾りの本体もコロナ禍の中で前年比3.1%減に踏みとどまっている。北島氏は「17年から“おいしさ”のイメージを高める取り組みを強化してきた。コロナ禍で広がった『自宅で食事をしながら、ゆっくり、じっくりとビールを味わう』需要に合っていたのでは」と振り返る。

 21年は、一番搾りブランドの缶商品全体で、前年比24%増の成長を目指す。2年ぶりにリニューアルする一番搾り本体は13%増、「一番搾り 糖質ゼロ」は通年で430万ケースの販売を目標として掲げる。

 特に、本体のリニューアルに対する期待は大きい。「2〜3年に1回リニューアルしているが、毎回『もっと何かできないか』と進化させていく精神で取り組んでいる」(北島氏)。今回は、雑味を抑え、麦本来のうまみをさらに引き出す改良を施したという。

2年ぶりにリニューアルした「一番搾り」

 また、現状ではブランド全体の3分の1程度の販売を占めるほどになった「一番搾り 糖質ゼロ」については、さらなる成長を狙う。北島氏は「一番搾りブランドの“第2の柱”として育成していく。お客さまが(糖質カットなどの)機能系商品を積極的に取り入れる動きは今後も大きくなる。ニーズを掘り起こしながら、ビールの総需要拡大につなげたい」と話す。

 ビールの主力ブランドの新商品が、「少しでも健康に気を付けたい」というニーズに対して、新しい選択肢を提供した。ビール類の国内市場が縮小を続ける中、定番商品が中心のビールで新しい需要を獲得できたことは、21年以降の明るい材料になるかもしれない。

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