コロナ後にカギを握るのは? 米国、食品スーパーの動向さまざまな取り組み(3/4 ページ)

» 2021年02月25日 07時47分 公開
[藤井薫ITmedia]

スマートロッカーに注目が集まる

 ほかにも注目を集めているのが、食品専用のスマートロッカーだ。米国企業のBell and Howell(ベル・アンド・ハウエル)が開発しているスマートロッカーは、個別に温度管理が可能なため、温かい食事から冷凍食品までを適温で管理することができる優れものだ。

 この画期的な設備は、アルバートソンズ傘下にあるスーパーのJewl-Osco(ジュエル・オスコ)の一部店舗でテスト導入されている。対象店舗のネットスーパーから注文をする際、店頭受け取りの中からロッカーと時間を選択し受け取れるようになっている。レジに並ぶ必要もなく、人との接触も避けられるため、コロナ下では利用価値の高いサービスだ。

 このように、ネットスーパーのインフラは短期間でより便利に進化している。だが、ネットスーパーの利用回数が増えれば、それだけ企業に求める期待値も上がっていくようになる。そこで企業側も、顧客の期待に応えるために、Eコマース向けの会員制プログラムの開発にも余念がない。例えば、大手スーパーが導入しているのが、定額制サービスの提供だ。

 年間80ドルから100ドル程度の会費を支払うと、通常10ドル程度かかる配送料が無料になるサービスだ。ただし、その特典が適用されるには、注文金額が30ドルから35ドル以上という条件がついているが、月1回利用するだけで元が取れる仕組みになっている。

 このような定額制サービスを利用する顧客は、どちらかというと節約を目的としているため、それほど企業やブランドに対して愛着を持っていない場合が多い。しかし、企業は利用者のデータを分析することで、より的確にプロモーションを行い、顧客との関係性を強固なものにすることができるため、重要なアプローチだといえる。

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