ただし、SaaSへのシングルサインオン市場には競合も多い。国内ではHENNGE(東京都渋谷区)がシングルサインオンサービスを提供しており、対応SaaS数を増やしている。グローバルでは米Okta(オクタ)がサービスを提供しており、対応SaaS数は6000にも及ぶ。
メタップスクラウドは2021年春の提供開始を予定しているが、「まず30種類程度のSaaSへの対応からスタートして、随時追加していく。夏には100種類を超えたい」(山崎氏)という。スマートHR、Box、ドキュサイン、Salesforce、マネーフォワードなどは既に対応が完了しており、有力サービスを中心に対応を進めていく。
その他にもこのようなSaaSサービスに対応していく計画だ(メタップス)
シングルサインオンサービスは、グーグルやマイクロソフトなど巨大プラットフォーマーも提供しているが、彼らは自身で業務向けSaaSも提供しているがゆえに、競合のSaaSに対応しにくいという課題もある。マイクロソフトのシングルサインオンでグーグルのサービスにログインしたり、その逆を行ったりするのは難しい。また、国内独自のSaaSサービスが大量に生まれつつあり、そうしたローカルなSaaSへの対応も課題だ。
独立系で身軽な企業のほうが、国内の状況に合わせた対応ができることから、勝機があると見る。
春のサービス開始に向けて現在招待制リリース中のメタップスクラウドだが、足元では10種類以上のSaaSを使っている企業からの問い合わせが多いという。また、導入SaaS数は少ないが、数万といった従業員を抱える大企業からの関心も増加している。「これからテストマーケティングの段階で、どんな企業に導入されていくかはまだ見えない。夏以降、代理店との提携含めて本格稼働する」と山崎氏。
続いてSaaSの導入の伸びが期待されるアジア市場への展開も想定しているという。
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