それこそ、既得権益でビジネスを継続するようなレガシーな大企業ならともかく、少なくとも経営状況に敏感で常に危機感を持ってビジネスを展開する中小企業の社長なら、すでに多額の運用経費、メンテナンス費用がかかるメインフレームを使い続けている会社などあるはずもないだろう。40年前にメインフレームを導入したような先駆的な経営者なら、オープン化も早かったはずだ。
このDX発想のもとになっているのは、「既存のITシステム(レガシーシステム)が、技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、その結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっている」という話なのだが、DXレポートのなかにも面白いことが書いてある。
「ユーザー企業は、自身がレガシー問題を抱えていることに気付きづらい特徴がある」「レガシー問題の発見は、ベンダー企業にも容易ではない」とあり、「なんだこりゃ」と正直思う。
よく、DXについてのアンケート調査で、「なにが課題か分からない」「どうすればいいのか手立てもない」という声が多いと聞くが、それも当たり前で、ユーザーは気づかないし、ベンダーも発見できないのだから。
さらにレポートでは、「企業が生き残るための鍵は、DXを実装する第3のプラットフォーム上のデジタルイノベーションプラットフォームの構築において、開発者とイノベーターのコミュニティを創生し、分散化や特化が進むクラウド2.0、あらゆるエンタープライズアプリケーションでAIが使用されるパーベイシブAI、マイクロサービスやイベント駆動型のクラウドファンクションズを使ったハイパーアジャイルアプリケーション、大規模で分散した信頼性基盤としてのブロックチェーン、音声やAR/VRなど多様なヒューマンデジタルインターフェースといったITを強力に生かせるかにかかっています」となっている。
実に大きなお世話までしてくれているわけなのだが、要は「いま」注目されているDXを採り入れないと、えらいことになるぞ。ということらしい。こうした話は、レガシーシステムと呼ばれるITシステムを導入するときも言われていたような話だ。「今変革のとき」というのは、戦後ずっと言われている気がする。そもそも、ここに書いてある言葉の意味は、私はよくわからない。
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