――海外に支局を置いているのも、他のウェブメディアにはないNewsPicksの強みですね。
米シリコンバレーやニューヨークに支局を設置しています。これは放送局や新聞社もやっていることなのですが、NewsPicksの規模では挑戦的な試みです。既存メディアの現地特派員は現地のことしかやらないことが多いと思います。
一方NewsPicksでは、原稿のチェックや企画会議など社内の作業がほとんどオンラインで完結できますから、ニューヨークにいても現地取材に加えて日本国内にいるメンバーの記事編集やチェック、企画や特集の打ち合わせができてしまいます。先ほど述べたようにデザインの打ち合わせも海外にいながらオンラインでできますね。
――海外にいても、本社にいるのと同じような連携が取れるようになっているのですね。
そうですね。だからコロナ禍によるテレワークへの移行もスムーズにできました。これも、番組制作やエンジニアリング、デザインなどを内製化していたことが功を奏した理由の1つだと思います。制作以外の職種を採用する時でも、NewsPicksの考え方に共感してくれる人材を採用していますので、職種に関係なく、世界中のどこにいても一体となったメディア運営をできていると自負しています。
――社内の一体感が、コンテンツの制作から番組の配信、アプリ開発まで自前で作り上げるNewsPicks独自の世界観を実現させているのだと思います。こうした在り方はメディアの「(商品の開発・生産・販売を自社で一手に行う)垂直統合モデル」ともいえると思うのですが、業種は違うものの米アップルに似ている印象を受けます。
確かにアップル的かもしれないですね。NewsPicksには独自のメディアと、他社の経済記事を集めるキュレーションがあるのに加え、「ピッカー」と呼ばれるユーザーを中心としたコミュニティーがあるのも特徴です。これも、他のメディアにはないモデルだと思います。
――NewsPicksもアップル同様、独自のファンコミュニティーを形成しているのは大きな特徴ですね。一方で、経営者や起業家をアイコンのような形で取り上げていることには賛否があります。「文春オンライン」は東京・恵比寿で起きたテキーラ事件に関して当事者を「NewsPicks系“天才起業家”」と見出しを付けて報じましたが、どのように捉えていますか?
光本勇介さんの最初の著書を出版したことが背景となって、そのような見出しを付けられたのだと思いますが、出版することによって社会的に認めるような形にしたのは事実としてあると考えています。やはり経営者というのは社会的に公共性のある存在ではあるので、そのあたりは非常に難しいですよね。
――シンボリックな経営者を取り上げることによって支持を得てきたことには功罪があって、非常に難しいと感じています。ビジネスの方に話を戻すと、NewsPicksのコミュニティーを対象にしたセミナーも開催していますね。
リアルでの講演会も開いていましたし、コロナ禍以降もオンラインでイベントは続けています。やはり、ピッカー同士が集まれる場所は必要です。「NewsPicksアカデミア」や「NewSchool」という学習事業も展開しています。
「NewSchool」は銀座に校舎を置いて、対面で講師から学ぶのをコンセプトにしています。「NewSchool」のほうも現在コロナでオンライン授業になっているのですが、例えばDeNA会長で横浜ベイスターズオーナーの南場智子さんに講座を持っていただき、新たなスポーツビジネスを企画・提案するという実践的な内容になっています。
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