旅行業界注目の「マニアックSIT」、鉄道サークル企画の豪華客車貸切ツアーから考える杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)

» 2021年03月05日 11時03分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 2020年12月12日から13日にかけて、「鉄道旅倶楽部および交流団体専用貸し切り列車ツアー サロンカーなにわで行く岡山・倉敷の旅」が開催された。

 「サロンカーなにわ」という車両は、国鉄時代に大阪地区で既存客車を改造した豪華客車だ。座席は大きくゆったりと配置され、編成の前後に展望車もある上、お召し列車に起用された実績もあり、鉄道ファンには憧れの車両だ。しかし、国鉄時代の製造のため「乗れるときに乗っておかないと……」という車両でもある。この車両を鉄道旅倶楽部という社会人団体が貸し切り、ツアーを企画・開催した。

 このように特別な目的に絞った旅行を、旅行業界では「SIT」と呼ぶ。「SIT」は「Special Interest Tour」の略で、スポーツ観戦や美術鑑賞、舞台演劇や音楽ライブなど「特別な目的に絞った旅行」を指す。目的がある旅なので、旅行市場低迷の中でもSITは鉄道のみならず堅調だったという。

 さらに今回のような団体専用車両への乗車が目的となると、特別ですらなく、超特別なのだ。一人旅では実現できない上、コアなファンしか集まらない。いわば「マニアックSIT」といえる。

大阪駅発車直前の「サロンカーなにわ」。珍しい車両のためプラットホームの人々から注目を浴びる。「これに乗るんだぞ」と思うと誇らしい気持ちになる
EF65形電気機関車にけん引されて大阪駅に到着する「サロンカーなにわ」。この機関車も希少な存在で、かつてはブルートレインをけん引する花形機関車だった
「サロンカーなにわ」展望車。本当に豪華で、息を飲むほどだ
編成の反対側の展望車。こちらはバーカウンターがある
通常の座席は3列のゆったり配置。ソーシャルディスタンスにも都合がいい
座席の向きは自在に変更できる
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