朝日新聞2020年12月27日付「巣ごもりでプラモデル人気、タミヤ会長『世界的に品薄』」によると、タミヤの売り上げは前年比30%以上の増加となった。
そういえばバンダイが展開する「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデルはガンプラブーム以降も手堅い人気だ。発売後すぐに完売し、いわゆる「転売ヤー」が跋扈(ばっこ)する事態になっている。ただし、これはアニメ文化の一部ともいえる。前述のタミヤはスケールモデル(実物系)が主だから、アニメ人気とは関係なくプラモデルが売れている。つまりオールジャンルでプラモデルブームが来た。
プラモデルメーカーの青島文化教材社では、塗装や接着剤不要のプラモデルが対前年比5倍の売り上げといい、「初心者やこどもなど新規顧客が増えているのではないか」と分析する。それを裏付けるように、税別3200円の「こどものニッパー」の売り上げは同1000%となったと報じられた。ニッパーなんて今どき100円ショップで買えるけれど、道具にこだわる人が増えている。市場が盛り上がっているからだ。
ところで、2年半前のプラモデル業界は世界的な不況だった。ネットメディアのResponseが公開した記事「『プラモデル離れ』に危機感…激震の模型業界、中心はアジアに」では、消費者の高齢化、欧州の経済停滞、北米のプラモデルメーカー・レベルが親会社のホビコともども倒産、日本ではラジコンの京商が事業再生したことが挙げられている。
これは想像だが、不況期には国内外で生産委託工場の撤退もあっただろう。それが現在の品薄の原因になっているかもしれない。朝日新聞の記事では、プラモデルのマークなどに使うデカール(転写シール)の不足で、プラモデルを生産できても出荷できない事例もあるという。塗装済みキットならタンポ印刷でマークなどを再現できるから、模型メーカーは初心者向け塗装済みキットの拡大に力を入れていくという流れも見えてくる。
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