リテール大革命

無人レジとロボットの導入は、ファミリーマートの店舗をどう変えるのか? 責任者に聞いたデジタル化の現実的な課題(2/4 ページ)

» 2021年03月11日 11時46分 公開
[中西享ITmedia]

ロボットの課題 続く試行錯誤

――ロボットに陳列作業をやらせてみて見えてきた課題は。

 ロボットは、ダンボールに入ったパッケージから商品を取り出すことはまだできません。そのため、商品を取り出して陳列棚のそばに置くところまでは人間がやり、そこから先をロボットにやってもらうことになります。

 20年夏に初めてペットボトル飲料などを並べる実験をしました。今後は弁当、サンドイッチなどの中食商品の陳列に取り組む予定です。中食商品は、ペットボトル飲料と異なり、さまざまな形があります。サンドイッチのような柔らかいものを、つぶすことなく持てるようにするなどロボットを改良するポイントが具体的に見えてきました。

 指が3本のロボットで実験をしていますが、指は何本が良いのかは実験を進めて決めることになります。実験に使っているロボットは同じ作業を繰り返す産業用ロボットとは異なり、いくつもの作業をしてもらうアンドロイド型になっています。ただ、ロボット導入に掛かる投資額を低く抑えていきたいと考えています。

――さらに、どんな改善をしていくか。

 陳列作業はいくつかのパターンがあり、この作業の次はこの作業というように順番があります。現在は、このパターンをロボットに学習させている段階です。最終的にはこのパターンをロボットに学習させ、作業を効率化したいと考えています。ロボットが何秒で陳列できるかを計測してみると、残念ながら、現時点では人手の方が速い状況です。作業を学習させてデータを集めパターン化できれば、作業が正確かつスピーディーになります。この改善を積み重ねると、人と同等くらいのレベルになると考えています。

 現在は、人が店舗で行っている作業のいくつかを、ロボットに置き換えるために試行錯誤を重ねています。それが確立できれば、人手不足や人件費削減につながることは間違いありませんが、実際に人件費がどれくらい削減できるかは検証中です。

――今後のスケジュールは。

 今後は、このロボットシステムを開発したTXに、ファミリーマートの加盟店として店舗の運営に携わってもらい、さらにロボットの実験を進めていく予定です。より現実的な作業をスムーズにできるかどうか検証していきます。22年度までにさまざまな立地の店舗にロボットを導入して、省人化にどの程度向いているかを確認します。その上でファミリーマートの加盟店に広げていきたいと考えています。

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