リテール大革命

無人レジとロボットの導入は、ファミリーマートの店舗をどう変えるのか? 責任者に聞いたデジタル化の現実的な課題(3/4 ページ)

» 2021年03月11日 11時46分 公開
[中西享ITmedia]

無人店舗化の課題 万引き対策は?

――無人決済システム導入の先には、店員がいない「無人店舗」にしていくことを想定しているのか。

 無人決済システムを開発しているのはTTG社で、いまは同社の高輪GW(高輪ゲートウェイ)店に導入して店舗を運営しています。3月31日に、このシステムを活用した無人決済コンビニエンスストアの実用化店舗第1号店を東京都千代田区にオープンします。

 ただし、無人決済システムを導入しても、温度管理が必要な商品を扱う場合には、店舗に人員を置かなければならないと法令で定められていることから、完全な無人店舗にはなりません。

――無人決済システムを導入するとどんなメリットがあるのか。

 店舗の状況にもよりますが、コンビニは複数人で勤務をすることが通常です。これを無人決済システムを導入し、レジに人が不要な状況になれば、1人でオペレーションをすることも可能になります。例えば、2人勤務であった場合は、レジに人が必要なくなるわけですから1人分の人件費が削減できますね。

 そうしますと、店舗のコストを抑えることができるので、これまで採算が合わず出店できなかった小さなマーケット、例えばエキナカ、病院、企業の食堂スペースなどに小規模の店舗を出店できるようになります。

 こうしたマーケットは約1兆円あるとも試算されていますので、無人レジ店舗を武器にして積極的に開拓していきたいと考えています。ただし、商品のアイテム数は、通常店舗が約3000品目なのに対して、小規模の店舗であるため、取り扱い商品は約1000品目前後と少なくはなります。

――無人決済システムの導入店と、通常レジの店とが併存した場合、デジタルが苦手な高齢者などは無人レジの店を敬遠することにならないか。そうした場合の対策は。

 ファミリーマートではお客さまの約7割が現金で支払っています。ですから無人決済システムを導入した店舗でも、お支払いの方法は交通系ICカード、クレジットカードなどのキャッシュレス決済だけでなく、現金も使えるようにするつもりです。

 現時点では、どれだけ店舗をデジタル化させたとしても、現金決済は残す方向で考えています。もちろん、お客さまの利用状況を鑑みて、改善を加えていきますが、いまはまだその段階ではないと考えています。

――無人決済システムを導入した場合に心配されるのが盗難対策だが、どのような対策をするのか。

 防犯上、詳しい説明はできかねますが、店舗にお客さまが入ると、店内に設置されたカメラで認識し、商品を手に取ると、その商品購入したといったん判断します。もちろん、手に取ってみたものの買わないで棚に戻した場合は、購入したことにはなりません。なお、購入した場合には、決済を完了しないと出口の扉が開かない仕組みになっています。もちろん、お客さまがお困りの時に対応できるよう、最低1人は店舗にいますので、安心して買い物ができます。

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