「自転車界のインテル」を生んだ日本で、なぜ配達員に“批判の声”が出ているのかスピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2021年03月16日 09時50分 公開
[窪田順生ITmedia]
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劇的に変えるには

 シマノは海外投資家からも人気で、20年12月31日現在の株式状況によれば、株主比率の「外国法人・個人」は45.46%。金融機関(33.74%)よりも、かなり増えている。シャープや日産という日本の技術力を象徴していた企業が続々と外資系になっているように、シマノも同じ道を歩まないとは限らないのだ。

 これを防ぐには、なんやかんや言っても政治の力だ。先ほどの議連リスト(20年9月現在)では、会長(発起人)には二階俊博氏が座り、同じく発起人には、河村建夫氏、橋本聖子氏、原田義昭氏という錚々(そうそう)たる有力議員が並んでいる。

 これ以上の自転車トラブルを増やさないよう、ぜひ政治のパワーでドカンと日本中に自転車専用レーンをつくっていただきたい。そこで一つアイデアだが、自転車業界は、東北新社をクビになった菅総理のご長男を迎え入れて、国土交通省に対してロビイングに力を入れたらどうか。

 放送会社の外資規制もチャラにできるほどのパワーがあることは証明済みだし、菅総理によれば「一緒に住んでないし、家計も別なので何をやっても問題なし」ということらしい。

 バカバカしいと思うかもしれないが、医師会に配慮して一向に改善されないコロナ医療体制や五輪のドタバタを見れば分かるように、この国ではいまだに「政治との距離」で世の中のルールが決まっている。

 遅々として進まない日本の自転車環境を劇的に変えるのは、これくらい過激なことをやらないと、もはや無理なのではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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