ワタミ渡邉美樹会長が見据える“コロナ後のマーケティング戦略”攻めの姿勢(2/3 ページ)

» 2021年03月31日 15時52分 公開
[武田信晃ITmedia]

時短要請の科学的根拠は?

 緊急事態宣言について「(解除される)3月8日を心待ちにしていたが2週間延長となった。果たして2週間で終わるのか? 警戒レベル4からレベル3になったら解除すると(政府は)言っていた。だがレベル3になっても解除しない。せめて基準を明確にしてほしい。何も変えない延長の仕方は理解しがたい」

 渡邉会長はこう訴えた上で「(飲食チェーンへの)補償はしっかりしてもらいたい。1軒あたりいくらなのかではなく、規模、業態がそれぞれ違うのだから、必要なところに必要な額を支援してほしい。例えば、前年の法人税の申告書をベースに設定することはできないのか?」と具体的な提案をした。

 「『大手は体力があり、交渉力がある』という実情は一時的にはあるでしょう。しかし、1年もコロナ禍が続くと、多くの社員を雇用している企業は厳しいのが現実だ」

 実際に、ロイヤルホストなどの大手チェーンも他社から資本支援を受け財務の立て直しを図っているのが実情だ。

 また、1月の記者会見同様に、「粗利の5割の補償があれば生き残っていける。生き残れば残存者利益が取れると思っている」と語った。加えて「午後8時以降は営業してはならない状況下で、毎日、飲食店での感染者の発表がある。その人数を追いかけて、『何時以降に、例えば8割が感染している。だから何時までの営業にしましょう』」といった数値的根拠を求め、「坪当たりの入店客数を制限することも大事ではないでしょうか」と時短以外の対策の重要さも提唱した。

 「『コロナ禍での融資は不良債権とみなさない』というお墨付きがあれば、銀行は企業を助けやすくなると思います。また、税金の繰り延べの1年間の延長も政府には検討してもらいたい。企業は赤字ではつぶれません。現金がなくなったときにつぶれるのです」

ロボットの導入で店員と客の非接触化を図る(写真は同社提供)

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