陶芸アニメで町おこし 岐阜県多治見市を舞台にした観光戦略とはアニメ「やくも」の舞台裏【後編】(3/5 ページ)

» 2021年04月06日 16時50分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

アニメ化の舞台裏

――フリーコミックは12年から連載していますが、アニメ化が発表されたのは8年後の20年です。どのような形でアニメ化を実現したのでしょうか。

 最初からアニメ化を狙ってスタートしているのですが、そうそうお声はかかりません。だから自分達でアニメを作っちゃおうと考え始めていたんです。そのために東京に行って、いろいろ調べていたら、そのタイミングで日本アニメーションさんからアニメ制作オファーのメールが届いたんです。

――その時どう思われましたか。

 うそじゃないかと思いましたね(笑)。実は私、自分の娘の名前を「ラナ」と名付けるくらい『未来少年コナン』が好きで、制作した日本アニメーションの大ファンだったんです。そんな日本アニメーションさんがこんな女子高生の作品を作るわけないだろ、というのもあり、うそだと思ってしまったんです(笑)。

 でも、いろいろお話を伺っていくとそれは本当でした。きっかけは、多治見出身の人が日本アニメーションに就職して、その彼が地元の『やくも』のフリーペーパーを企画に上げてくださったそうなんです。8年もやっているとそんなことも起こるんだなと思いましたね。

――仰る通り、『未来少年コナン』や『みつばちマーヤの冒険』『ちびまる子ちゃん』など、一般向けアニメで知られる日本アニメーションさんが、こういう女子高生を主人公にしたゆるふわ系の日常モノを制作するとは想像できないかもしれません。

 日本アニメーションさんもそれは自覚されていたようで、こういう新しいジャンルの作品づくりに挑戦したいと伺いました。その題材に『やくも』を選んでくれたことはとても光栄です。さらに、アニメの『やくも』は放送時間30分のうち半分がアニメパートで、もう半分が出演声優さんによる多治見の舞台紹介パートになっています。これも例がないことで、なかなか思い切ったことをして下さったと思います。

――小池会長やプラネットは、アニメの制作にどういった形で関わられているんですか。

 うちの原作を神谷純監督が気に入っていただいて。その考え方とか、コンセプトみたいなのをすごい大事にしたいと言ってくださいました。アニメの制作にあたっては、常にうちの制作とアニメの制作が話し合いながら進めています。あと、脚本家の荒川稔久さんもすごく良く原作を料理してくれていて、やっぱりプロだなと思いました。また、製作委員会のほうにも、当社も加わらせていただいております。

――小池会長ご自身はアニメにどのようにクレジットされているんでしょうか。

 企画のところに、日本アニメーション社長の石川和子さんの次に僕の名前が入っています。

アニメの『やくも』は放送時間30分のうち半分がアニメパートで、もう半分が出演声優さんによる多治見の舞台紹介パートになっている

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