陶芸アニメで町おこし 岐阜県多治見市を舞台にした観光戦略とはアニメ「やくも」の舞台裏【後編】(4/5 ページ)

» 2021年04月06日 16時50分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

なぜ「体験型」が重要なのか 地域活性化の要点

――アニメのターゲットはどこに設定しましたか。

 観光で地域活性化をする上で、体験型というのは重要なんですよ。ただ行くだけではなく、何かを体験するのが大事なんです。多治見ではいろいろなところで作陶ができますので、アニメを見て多治見を訪れて、作陶を体験して帰ってもらうのが狙いです。

 また、作陶って若い人がやるイメージがあまりないと思うんですけど、ここもアニメで変えていきたいですね。『やくも』では女子高生が作陶に打ち込むんですが、若い人にも実際に作陶してもらいたいと考えています。老後の趣味としてよりも、若い人たちのほうが才能がありますからね。『やくも』で作陶を趣味にする若者が増やすことも狙いとしています。

――人口や需要も大きいリタイア層ではなく、若者をターゲットにした狙いはなんでしょうか。

 今は少子高齢化社会ですから、高齢者を相手にする市場もあるとは思います。でも、若者をターゲットにしたほうが、数は少なくても息が長いんです。これも堀先生の教えだったりもします。東京ディズニーランドがまさにそうですが、常に若い世代をファンにし続けるものでないと、あとに続きません。

――『やくも』を何話か見させていただきました。特に陶芸に関する描写にそこはかとないリアリティーを感じました。

 作陶する場面は本当によく詳細に描いてくれています。何より主人公達が楽しくやっているのがいいですね。作陶するカットにおいては、「虎渓窯(こけいがま)」という多治見市にある窯元が監修しています。『やくも』の企画が始まった当初から、作陶のリアリティーを追求し続けていたのですが、とてもよく描いてくれています。若い人が見て興味を持ってくれるんじゃないかと思いますね。

若い世代をターゲットにした方が「息の長い」ムーブメントが続けると小池さんは言う

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