西武園ゆうえんちの準備は整った しかし、足りない要素が2つある杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/7 ページ)

» 2021年04月16日 10時30分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 「レッツゴー!レオランド」は森岡氏がUSJで取り組んだ「ファミリー集客の強化」にあたる。もともと西武園ゆうえんちは沿線のファミリー層のためにあった。この顧客を他地域のテーマパークから取り戻さなくてはいけない。西武鉄道はアニメと沿線活性化の取り組みを続けていたし、手塚治虫作品のジャングル大帝レオは埼玉西武ライオンズのキャラクターでもある。両者の良好な関係を象徴するコラボだと言える。

 レオランドでは、ジェットコースター「アトムの月面旅行」、回転型ライド・アトラクション「飛べ!ジャングルの勇者レオ」など4つのライドを含む6つの体験が用意されている。

 鉄腕アトムは03年のテレビ放送第3作『ASTRO BOY』が世界各地で放送された。ジャングル大帝レオは67年にヴェネツィア国際映画祭でサンマルコ銀獅子賞を受けた。後のディズニー作品『ライオン・キング』に影響を与えたことで海外にも知名度がある。

 手塚アニメで育った世代としては、今後は他の作品『リボンの騎士』『ブラックジャック(とピノコ)』『三つ目が通る』などの登場にも期待する。『アドルフに告ぐ』のパン屋「ブレーメン」がさりげなく開業してくれたら嬉しい。

手塚治虫のテーマパークは世界初とのこと

 『ゴジラ・ザ・ライド大怪獣頂上決戦』は、建物としては「夕陽の丘商店街」に通じる映画館だ。しかし中身は最新技術を投入したアトラクションになる。「ゲストは映画を見に来たつもりが、館内の緊急放送で東京に謎の巨大生物キングギドラが現れ、建物をなぎ倒しながら埼玉方面へ向かっていると知らされる。ゲストは特殊災害対策部隊の特殊装甲車に乗りこみ、ゴジラやキングギドラたちの激闘の真っ只中に放り込まれる」という10分間のストーリーだ。

丘の上の映画館は1960年代の建築デザイン

 ゴジラはアメリカでも大人気の怪獣で、98年の映画『GODZILLA』は低評価ながらもまずまずの興行成功となった。14年にワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズによる『GODZILLA ゴジラ』は高評価で成功し、19年の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』につながった。ゴジラシリーズ3作目『ゴジラvsコング』の日本公開予定日は5月14日で、新生西武園ゆうえんちオープン直前だ。グッドタイミングである。

 『ゴジラ・ザ・ライド大怪獣頂上決戦』の監督はVFX(CG視覚効果)の第一人者、山崎貴氏。『ジュブナイル』『リターナー』などのSF作品だけではなく、『ALWAYS 三丁目の夕日』では昭和レトロ世界の再現にVFXを組み合わせてリアルな情景を作り上げた。『STAND BY ME ドラえもん』も手がけており、西武鉄道ではドラえもんつながりでもある。

 日本では東宝特撮版ゴジラが連作され、近年では庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』が興収80億円超の大成功を収めている。山崎監督の描くゴジラがどんな映像になるか、世界のゴジラファンが期待しているはずだ。COVID-19が沈静化すれば、世界からゴジラファン、手塚ファンがやってくる。

映画館内部は最新式アトラクションを上映

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