渋谷に異変? イケアやダイソーの出店で「ファッションの街」に何が起きているのか磯部孝のアパレル最前線(3/3 ページ)

» 2021年04月30日 11時30分 公開
[磯部孝ITmedia]
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Forever21の跡地にはイケアが出店

 井の頭通り沿いにあったForever21の跡地にはイケアの都心店が出店。こちらは1階のスウェーデンビストロが人気で、4月21日には7階にスウェーデンレストランもオープンさせた。手軽に食べられるファストフード的な感覚とスウェーデンという新しさが若者達に受けたのだろう。

Forever21の看板はイケアに変更

 しかしイケアの進出で、渋谷公園通りのニトリ、無印良品、渋谷LOFT、東急ハンズと、いつのまにか渋谷は「ファッションの街」というより、「インテリア雑貨の集積エリア」のような様相となってしまっている。

 若者に親しみを持たれる街の要素には、若者達の小遣いの範囲で気軽に買い物ができる「安さ」は必要である。しかもSNS登場によって、プチプラコスメやプチプラ雑貨でおしゃれに見せるテクニックといったHow Toコンテンツが豊富に広まった。

 そうしたSNS発信の情報が、今の若者達の嗜好(しこう)に大きな影響を与えている。誰もが憧れる有名ブランドへの渇望なんかより、今はプチプラアイテムに流れていく。需要不足による低成長が続く日本社会といった側面もあろうが、こうしたプチプラアイテムそのものがトレンドでもあるようだ。近ごろ渋谷にオープンしたプチプラ雑貨の新店の活況を横目に改めて感じたところだ。

(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

*1:売上高は20年3月末海外含む、店舗数は2020年2月末現在国内の店舗数、*2:20年3月末時点、*3:20年8月末時点、*4:20年11月末時点

著者プロフィール

磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)

1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。

2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。

2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)

2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。


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