「大塚家具」は再建できるか 危機意識強める「ヤマダ」とのコラボで売り場に変化長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)

» 2021年05月25日 07時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

前近代的な家族経営に陥った?

 大塚家具の凋落(ちょうらく)については、既に語り尽されている感があるが簡単に振り返ってみよう。

 大塚家具は1969年、埼玉県春日部市に桐タンスの販売店として創業。78年に東京に進出した。80年、店頭市場(現ジャスダック)に上場。93年、会員制を導入。「IDC大塚家具」の商標を使い出した。

 順調に発展していた同社の経営にケチが付いたのが、07年の自社株買いによるインサイダー取引事件。勝久氏のワンマン経営が問題視された。

 長女の久美子氏は、一橋大学大学院から富士銀行(現みずほ銀行)に就職。94年に大塚家具に入社。96年に取締役となって経理、広報、商品本部などの部長や本部長を歴任。

 勝久氏の個人商店からの脱却を目指した。しかし、04年に一度退社して、コンサルティング会社を設立し、独立している。この8年間で大塚家具の年商は3倍になった。

 ところが、後継者と目されてきた長男で弟の勝之氏が08年に突如、退社。結婚問題で、母親に反対されたから、責任を感じてという説がある。もし本当なら、事業と家庭の区別がついていない、前近代的な家族経営そのものの考え方である。

 09年には、業績が低迷して勝久氏が社長を辞任し、会長となった。久美子氏が後任の社長に就いた。ここまでの経緯を振り返ると、久美子氏はむしろ有能だから、会社を家業から近代的な組織に改革することを期待されて、2代目社長を譲られたことになる。

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