日本が誇る「トイレ」は人類を救う、本当か世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2021年05月27日 10時20分 公開
[山田敏弘ITmedia]

日本ハイテクトイレ

 日本で暮らしていると、そのスゴさはあまり分からないかもしれないが、外国に行くと日本のトイレが群を抜いてハイテクであることを実感する。温水洗浄便座からフタの開け閉め、臭気を取る装置など、海外の高級ホテルに泊まってもあまり見かけないが、日本ではずいぶん前から当たり前になっている。

 インターネットの英字検索でトイレを調べると、日本発のニュースが数多くヒットする。英語で日本のハイテクトイレの使い方を解説する動画や、単純に「スゴい」と感心するものもあれば、「奇妙」と好奇の眼差しで取り上げているものもある。

 ちなみに、米国でも日本製のトイレを販売しているが、値段の高さや価値観の問題などであまり普及しなかった。それが新型コロナの感染拡大を受けて、衛生面に注目が集まり、2020年度はTOTOのウォシュレットの売り上げが米国でも好調(前年比で1.8倍)だったと報告されている。

米国でウォシュレットが好調(出典:TOTO)

 とはいえ、日本にはまだまだお世辞にもキレイまたはハイテクとは言えないトイレが数多く存在している。公園や駅構内にあるトイレを使って、「汚いなあ」と感じたことがある人も多いのではないだろうか。こうした状況を受けて、日本財団はイメージのよくない公衆トイレを「快適」にするために、渋谷区内のトイレをクリエイティブに改修する「THE TOKYO TOILET」プロジェクトをスタート。トイレがかなり清潔感のあるデザインになって、海外でも報じられていた。

神宮通公園トイレ(出典:THE TOKYO TOILET)

 このプロジェクトの公式サイトによれば、「トイレは日本が世界に誇る『おもてなし』文化の象徴。渋谷区の17カ所で、順次公共トイレが生まれ変わっていきます。それぞれのトイレには、世界で活躍する16人のクリエイターに参画いただきました」(参照リンク)とのこと。トイレにここまでこだわりを見せる国は、筆者が知る限り他に知らない。これは世界に誇れる文化だと思うし、冒頭で紹介したドイチェ・ヴェレの動画内容のように、重要度を考えればトイレを大事に扱うのは有益なことだと感じる。

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