花王、「飛沫抑制と通気性を両立させたマスク」を開発 鹿島アントラーズも協力安全なイベントを

» 2021年05月27日 11時24分 公開

 花王は、慶應義塾大学理工学部の奥田知明教授、鹿島アントラーズ・エフ・シーおよび産業技術総合研究所と共同で、「飛沫抑制と通気性を両立させたマスク」を開発し、マスクの感染予防効果と快適性を評価することを発表した。大規模イベントの安全な開催を目指す研究プロジェクトに参画する目的だ。

 実証試験は、5月26日に県立カシマサッカースタジアムで行われた、2021年明治安田生命J1リーグ第16節、鹿島アントラーズ対セレッソ大阪戦で開始した。

マスク着用時の快適性評価を行う

 Jリーグでは「新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」を策定し、日常的に選手やクラブ職員の感染予防対策を行っている。試合開催時には観客動員数の制限に加えて、選手や運営スタッフ、観客などスタジアムに集まる全員を対象とした手指消毒やマスクの着用という対策で試合を開催している。

 効果的な感染予防のためには飛沫抑制が必須であるとされ、マスクに求められる性能に関して多くの研究が進められている。

 これまでの研究結果から、通気性のよい布およびポリウレタン製のマスクでは、飛沫抑制効果が劣ることが示されている。また不織布製マスクでも肌とのすき間を減らす必要があるが、通気性が悪いケースが多く、実使用場面で快適性に課題がある。

 特に身体活動によって呼吸が荒くなる場面、人と会話する場面、また夏場などの高温多湿の環境は、マスク着用時の快適性が低下する。その結果、鼻を出して着用したり、あごにマスクを掛けたりするような不適切な着用が誘発されると、マスク本来の効果が低下する。

 そのため、「飛沫抑制と通気性を両立させたマスク」を開発し、マスクの感染予防効果と快適性を評価することが、大規模施設での安全なイベント開催に有用だと考えた。

飛沫抑制効果および快適性の評価を行う(写真提供:ゲッティイメージズ)

 本プロジェクトでは、花王が快適性を高める研究を応用して開発したプロトタイプマスクを含む複数の不織布製マスクを用い、実験室で飛沫抑制効果および快適性の評価を行う。そして実際に県立カシマサッカースタジアムでマスク着用時の快適性の評価を実証試験した上で、マスクの改良を行っていく。

 将来的には観客を対象とした着用時の快適性の評価、快適性とマスク着用方法の関係を評価して、大規模イベントの安全な開催を目指す。得られた研究成果は、Jリーグなどの関係団体に報告するとともに、公表する予定だ。

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