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» 2021年06月01日 10時00分 公開

テレワークで従業員の健康課題に変化? 2020年度の健康経営を振り返るウィズコロナ時代の健康経営(1/3 ページ)

[渡辺敏成,ITmedia]

 新型コロナウイルスの先行きが、依然として読めません。3回目の緊急事態宣言が延長され、まん延防止等重点措置の対象地域も拡大、ワクチン接種の動きも進んでいますが、まだアフターコロナには程遠い状況です。そんな先行き不透明な状況の中で、ウィズコロナでの勤務もすでに1年以上が経過しました。テレワークでの仕事風景も見慣れ、ニューノーマルといわれる仕事様式も定着したかに感じられます。

 そうしたなか、3月に経済産業省による健康経営優良法人の認定発表が行われました。5回目の認定となる今回は、「大規模法人部門」に1801法人(うち上位500法人は「ホワイト500」)、「中小規模法人部門」に7934法人(うち上位500法人は「ブライト500」)、総計では約1万法人ほどが健康経営優良法人として認定されました。

 また、健康経営銘柄としては48社が選定されました。コロナ禍で認定数は減るかと予想されましたが、前回から大規模法人で約1.2倍、中小規模法人部門では約1.65倍の認定数となり、関心の高さが伺えます。

 今回の健康経営認定は、まさにウィズコロナといわれる状況下で健康経営を評価したものでしたが、この1年間、企業の健康経営はコロナ前と比べてどう変わったのでしょうか?

 今回は、「2020年度ウィズコロナの健康経営を振り返る」と題して、「この1年、企業は何を行ったのか?」そして「何が分かったのか?」「どのような課題が浮き彫りになったのか?」を一緒に考えていきたいと思います。

ウィズコロナにおける従業員の健康課題

 ウィズコロナにおける企業の健康経営を考える前に、まずは従業員の健康課題を見ていきたいと思います。

 2020年の緊急事態宣言など外出自粛による在宅ワーク/テレワークは、従業員にさまざまな健康課題を引き起こしています。今回は、産業医学の有力誌「OEM(Occupational and Environmental Medicine)」に掲載されたリンクアンドコミュニケーションと京都大学大学院 近藤研究室(社会疫学分野)との共同論文から、特に働き方の違いによる生活習慣の変化を見ていきたいと思います。

歩数・活動量の低下

 緊急事態宣言などの外出自粛により、従業員の運動量は大きく変化しています。

緊急事態宣言期間の勤務状況と歩数(男性:1150人、女性:1696人)。産業医学の「Occupational and Environmental Medicine」に掲載

 緊急事態宣言前(2020年1月1日〜2月29日)と、緊急事態宣言期間中(2020年4月7日〜5月13日)の平日の平均歩数を比較した結果、女性に比べ男性の歩数が減少していました。特に在宅ワーク/テレワークに移行した人の歩数の減少幅が大きく、男性で約1500歩、女性で約1400歩の減少がみられました。確実に運動不足の方が増えています。

 このような歩数の低下や活動量の低下は、みなさんも思い当たるところが多いのではないでしょうか? 私自身、多くの方から、2020年の健康診断の結果で、活動量低下による体重増、いわゆる“コロナ太り”をしてしまったと聞いています。

 このような身体活動の低下は、糖尿病や心臓病、脳卒中などの慢性疾患、うつ病やがんなど、さまざまな病気と関係していることが、多くの学術研究により指摘されています。いわゆる、「コロナによる健康二次被害」に気を付けるべき状況にわれわれはおかれています。

コロナによる生活習慣の変化とうつリスク

 2点目は、コロナによる生活習慣の変化がメンタルに与える影響です。先ほどの共同研究の中で、2020年4〜5月に発出された緊急事態宣言中の生活習慣の変化とうつリスクの有無について、アンケート調査を行い、関係を明らかにしました。

緊急事態宣言期間の勤務状況・生活習慣の変化に伴ううつリスク(男性:1150人、女性:1696人)。産業医学の「Occupational and Environmental Medicine」に掲載

 全体のうつリスクを1としたとき、「勤務時間が増加」した人は1.73倍、「女性」が1.58倍、「平日に歩数が減少」した人は1.22倍、うつリスクが高い状態でした。一方、「在宅ワークへ移行」できた人では0.83倍と、全体に比べてうつリスクが低いことが分かりました。

 コロナ禍の慣れない環境下での仕事時間増加や、仕事や生活環境の変化が、メンタル面で大きな影響を与えていることが分かります。一方、テレワークになった人のメンタルリスクは軽減されています。テレワークの活用は、感染症対策だけでなく、メンタルリスクの低減にも役立っているようです。

 上記を受けて、ウィズコロナにおける従業員の健康課題として、企業が考えるべきポイントを3点挙げたいと思います。

  1. 歩数・活動量の低下による健康二次被害の予防
  2. 仕事や家事の時間管理の重要性
  3. テレワークの有効活用

 それでは、このような従業員の健康課題に、企業はどう応えていったのでしょうか?

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