以下は、健康長寿産業連合会 健康経営ワーキンググループが、「新型コロナウイルス流行下における健康経営の取り組み状況に関する調査」として、2020年7月、36法人にアンケート調査を行ったものです。回答企業数は多くはないですが、全体の傾向として大変興味深い結果でしたので、こちらで掲載し、一緒に考えていきたいと思います。
新型コロナによる外出自粛規制やテレワークへの移行は、やはりかなりの健康施策に影響を与えたようです。特に「集合セミナー」や「健康イベント」など、多くのリアル施策が中止せざるを得なかった状況にあったことが分かります。
また「定期健診」「特定保健指導」「ストレスチェック」など、実施しなくてはいけない施策に関しても、時期を後ろ倒しにするなどスケジュール面での影響も出ています。
企業の健康施策が影響を受ける中、8割以上の企業がウィズコロナにおける、新たな健康経営課題を認識したようです。
課題の具体例として、以下のような従業員の健康課題が挙げられました。
こちらは、先ほどの論文とも合致する内容です。一方で、施策を実施する側の企業として、以下のようなテレワークに関する課題が挙げられました。
短期間にテレワークが急速に浸透していく中で、企業側がテレワークへの対応に苦慮していることが分かります。
それでは企業側は、テレワークの従業員の健康に与える影響に関しては、どのように見ているのでしょうか?
上記のように、テレワークの影響に関しては、企業によって見方がそれぞれ分かれる結果となりました。「良い影響の方が多い」「悪い影響の方が多い」「変わらない」「分からない」が、見事に4分されています。
良い影響として一番多かったのは、「通勤時間の削減」による身体的・精神的負担の軽減です。従来の満員電車や長距離通勤がなくなったこと、ここに1番のメリットを感じている従業員がとても多かった、とのことでした。
通勤時間が減ったことで、空いた時間に自己啓発ができた、睡眠時間がしっかりとれるようになった、ワークライフバランスがとれる生活を送れるようになった、などポジティブな影響が現れているようです。
一方、悪い影響として挙げられたのは、先ほど新たな健康課題として挙げられた課題と同様です。
やはりテレワークによる生活習慣の変化を危惧した課題が多く見られます。
また、この結果のポイントは、「(テレワークを行っても)変わらない」「(テレワークの影響が)分からない」も、先ほどの「良い影響」「悪い影響」と同数だったことです。
「(テレワークを行っても)変わらない」と回答した企業は、コロナ以前からテレワークを実施するなど、働き方改革を先行していた企業が考えられます。こちらは「良い影響」と同様に見ても良いかもしれません。
しかし課題となるのは、「(テレワークの影響が)分からない」企業です。こちらは、テレワークによる従業員の身体的・精神的変化の発見が遅れる可能性があり、結果「悪い影響」へとつながる可能性もある意味で、要注意と考えられます。
上記をまとめると、コロナをきっかけとして急速に普及したテレワークは、良い影響と悪い影響の両面が見られ、ウィズコロナにおける健康経営が直面する課題としては、大変重要な課題として考えられるのではないでしょうか?
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