94年の歴史に幕 なぜミズノの淀屋橋店に入ると「ワクワク」するのか週末に「へえ」な話(3/4 ページ)

» 2021年06月06日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

ライスカレーが人気

 次に「ご飯」の話である。ビルが完成した6年後に、「大食堂」がオープンする。8階建てのビルを構えたものの、当時のミズノはスペースを持て余していて、7階と8階は空きフロアーになっていた。「このままにしていてはもったいない、何らかの形で有効活用すべき」と考えたのではないだろうか。創業者の水野利八は、梅田にある阪急百貨店で営業していたレストランに注目する。その店のカレーライスが人気だったことから、従業員に「阪急百貨店に行って、勉強してこい」と指示したそうだ。

7階、8階の大食堂。同窓会に使われたことも

 「レストランで修行を積んだのか。それとも、店で食べて味を研究したのか。その記録は残っていませんが、大食堂で『ライスカレー』を販売したところ、看板メニューの一つになりました」(梁川さん)

 飲み物で人気を集めたのは「ホームランジョッキ」である。「ホームラン」という言葉が入っているので、サイズが大きいのかなあと思っていたら、そうではない。一般的な優勝カップには取っ手が2つ付いているが、それをイメージしてジョッキの取っ手を2つにしたのだ。仕事を終えたサラリーマンが大食堂に集まって、「大阪タイガース、また勝ったで!」(1946年〜60年、現在は阪神タイガース)などと叫びながら、ホームランジョッキでビールをグイグイ飲んでいたのではないだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.